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果物は「太りやすい」「栄養ない」は本当? ネット上の疑問を栄養士が解説 注目すべき栄養メリットとは
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教えてくれた人:和漢 歩実

「朝の果物は金」ということわざがあるように、果物は古くから体に良いものとされてきました。一方で、水分や糖分が多いイメージから、SNS上では「たいして栄養がないのでは」といった声も見られます。実際のところどうなのでしょうか。果物を食べるメリットとは? 栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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ビタミンやミネラル、食物繊維などが含まれている
結論からいうと、果物に「たいして栄養がない」というのは誤解です。主成分は水分ですが、エネルギー源である糖質、体の調子を整えて生活習慣病の予防に関与するビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が含まれています。とくに、ビタミンは免疫機能の向上や美肌効果も期待できるビタミンC、ミネラルは余分な塩分を排出し高血圧予防に効果があるといわれるカリウムが多いことが挙げられます。
さらに、果物の栄養メリットとして注目したいのは、フィトケミカルです。野菜と同様に色素や香り、渋味成分などで、強い抗酸化作用があります。体内で発生した過剰な活性酸素を取り除き、老化防止や生活習慣病予防に役立つ機能性成分です。近年、免疫機能を高める可能性も注目され、さまざまな研究が進められています。果物は赤や紫などカラフルなものが多いため、さまざまなフィトケミカルを取り入れやすいでしょう。
現代人はストレスなどにより、体内で活性酸素が発生しやすいといわれています。活性酸素から身を守るという点でも、果物は積極的に取り入れたい食品です。ほかの食品と比べて、果物は調理の必要がほとんどなく、手軽に生のまま食べられるのが特徴で、熱に弱い栄養素を損失なく摂取できます。忙しいときでも無理なく続けやすい食品ともいえるでしょう。
「果物だけ」の食生活はNG バランスの良い食生活を
もちろん、体に良いからといって「果物だけ」の食生活はおすすめできません。果物には、体の構成に欠かせないたんぱく質、糖質や脂質の代謝に必要なビタミンB群などがほぼ含まれておらず、栄養バランスが偏ってしまいます。
何をどれだけ食べれば良いかを示す「食事バランスガイド」(農林水産省、厚生労働省)では、果物は1日200グラムを目安にしています。食事はバランスが大切。リンゴや梨なら1個、ミカンなら2個程度です。穀物などの主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品を意識した献立に、果物をプラスしていきましょう。
果物が「太りやすい」のは本当?
果物は「甘く、糖分が多いから太りやすい」というイメージを持たれやすいですが、それも誤解です。果物の種類によって量は異なりますが、主に果糖、ブドウ糖、ショ糖などの糖質が含まれるため、そのように思われやすいのかもしれません。
果物に限らず、食べすぎは当然太ってしまいますが、糖質を制限する必要のない健康な成人が1日200グラムの適量を取り入れる分には、体重増加に大きな影響はありません。むしろ、ビタミンやミネラル、フィトケミカルなどの食品機能メリットのほうが大きいです。
「朝の果物は金」と、朝に食べる果物は体に良いといわれますが、果物の食べやすさ、栄養吸収の良さに理由があります。私たちの体は、睡眠中もエネルギーを消費するため、朝の起床時はエネルギー不足の状態です。素早くエネルギーに変わる果物は、脳の働きを活発にすることが期待でき、元気な一日のスタートを切る助けになるでしょう。
旬の果物は、栄養価が高く、価格も比較的安く手に入ります。最近は、さまざまな種類の果物が入ったカットフルーツのパックなども、コンビニエンスストアやスーパーマーケットで見かけます。お菓子の代わりに、食後のデザートとして手軽に取り入れたいですね。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾
