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「パパって本当に野球やってるの?」 6歳の長男からの無邪気な疑問も 夫がプロ野球生活に終止符 妻が語る家族で過ごした15年
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俳優の美馬アンナさんにとって、2025年は一つの区切りを迎えた年でした。夫の学さんが15年にわたるプロ野球人生に終止符を打ったのです。身長169センチと小柄ながら、気迫あふれる投球スタイルで267試合に登板。6度の右肘手術を乗り越えて飾った80勝は勲章です。学さんの「引退」という大きな節目を、アンナさんと長男・叶(リタ)くん、長女・光(ララ)ちゃんはどう受け止めたのでしょうか。
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「どう思う?」 夫婦で迎えた引退の決断
2025年9月初旬のある日、学さんの電話が鳴りました。「あ、来たな」――。電話の主は、所属する千葉ロッテの幹部。話し合いに出向くと、切り出されたのは「引退試合」の打診でした。
「きっとその話だろうと思ったので、帰ってきたときに『どうだった?』と聞いたら『そういう話だった』と。9月30日の楽天戦で引退試合をやらないかと」
2024年は度重なる怪我で1勝もできず。2025年は「最後の1年だと思って泥臭くやっていくから、そのつもりでいてほしい」という覚悟を聞いていただけに、シーズン中盤に怪我を負うと「私も夫も、なんか悟った感じがありました」と話します。
学さんから「どう思う?」と聞かれたアンナさんは、「もう十分にやったと思うから、あとは自分のために、やりたいようにやってほしい」と伝えたそうです。振り返れば、手術や移籍などキャリアにおける大きな決断をするとき、学さんはアンナさんに必ず意見を求めてきたとか。
「限界を超えると必ず『どう思う?』って聞かれるんです。出会ったのがプロ1年目のとき。現役生活15年、良いときも悪いときもずっと一緒に歩んできたので、彼の中で答えが決まっていても、私がどう思うかが、判断する上で大きいみたい。多分、後押しがほしいんだろうなと思います」
数日後、学さんが出した答えは「引退」でした。理由は2つ。1つは、アンナさんと2人の子ども、そしてこれまでサポート・応援してくれた人々に引退試合を見せることが、自分にできる最大の恩返しだと考えたから。「引退試合を見て『この人を応援して良かったな』『支えてきて良かったな』と誇らしい気持ちになってほしいと言っていました」。そしてもう1つは、引退勧告を受けたときに「ようやく怪我の痛みから解放されるんだと思ったら、ホッとした自分がいた」から。
「『もう俺はこれ以上無理だ』というくらい泥臭くやれた気がする」とスッキリとした表情で話す夫に、アンナさんは「だったら、もういいんじゃない? なんか気持ちいいよ! 私、引退試合見たい!」と笑顔で返したと言います。
球団が引退試合を用意するのは、功績を認められた一部の選手だけ。怪我続きで1軍登板から離れ、リタくんから無邪気に「パパって本当に野球やってるの?」と聞かれることもあった学さんにとって、「引退試合を用意してもらって、パパがどれだけすごい人か見せてあげる機会を作れたことは大きかったですね」とアンナさん。さらに、引退試合は古巣の楽天戦という最高の舞台です。