仕事・人生
障害について知らないことが多い日本社会…美馬アンナさんがリハビリ科医と対談
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対談シリーズ第5回 東京大学医学部附属病院医師・藤原清香さんに聞くカナダでの障害
先天性上肢形成不全のため右手首から先がなく生まれた男の子「ミニっち」に、母として愛情をたっぷり注ぐ女優・タレントの美馬アンナさん。我が子を授かったことをきっかけに、障害について理解を深めようと積極的に学びの機会を求めています。
美馬さんのパートナーはプロ野球の千葉ロッテマリーンズで活躍する美馬学(みま・まなぶ)投手。夫の仕事もあって、野球をはじめスポーツを生かした健常者と障害者をつなぐきっかけ作りや、障害を持つ子どもの家族が意見交換と情報共有ができる“場作り”を模索。そのヒントを得るために、さまざまなジャンルの方との対談を続けています。
今回の対談シリーズでは、東京大学医学部附属病院(以下、東大病院)リハビリテーション科の医師であり、一般社団法人ハビリスジャパンの理事でもある藤原清香さんが登場。前編では、小児用義手の先進国でもあるカナダへの留学経験を持つ藤原さんに、障害への認識におけるカナダと日本の違いについて話していただきました。
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東大病院に多い義手の相談 話を聞き胸が締め付けられるような思いになることも
藤原清香さん(以下、藤原):東大病院に四肢形成不全小児用義肢外来ができてから8年が経ち、これまで約130〜140のご家族が受診なさっています。そのうち義手の相談は80家族ほどで義足より多いです。義足は他の医療機関でも診療・製作ができますが、義手は非常に少ないので当院にいらっしゃるのだと思います。
片手または両手・両上肢の形成不全のお子さんを持つご家族と接する中で、いろいろ印象的なエピソードを耳にして、胸を締め付けられる思いをすることがあります。お母さんが子どもを外に連れていけなかったとか、常に長袖で手を隠していたとか、手を見られるのが嫌で1歳になるまで公園デビューさせられなかったとか。
障害に対してはご家族それぞれのとらえ方があります。前向きにとらえようとなさるご家族がいる一方で、すごく深刻になるご家族もいる。手指のない0歳~高校生くらいまでのお子さんを持つご家族と出会いながら、皆さんがどういう風に向き合っていらっしゃるのかを見てきました。
美馬さんの記事を拝見しましたが、すごくポジティブにとらえていらっしゃってすごい! ただ、きっとそう思えるまではすごくいっぱい葛藤があったんじゃないかと思いました。
美馬アンナさん(以下、アンナ):何だか今日は涙、涙になりそうです……(笑)。カウンセリングを受けているようで気持ちが抑えきれないかもしれません。