仕事・人生
介護うつの母 寄り添っていたはずの30代娘が子どもの頃から家族に抱いた「心の闇」に気付く瞬間
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母親が介護うつに 祖父を受けれてくれる施設が見つからない…
実家に近い兄と弟に連絡を取り、週に1度程度、交代で母親を外に連れ出し気分転換に行ってもらうよう頼んだという友人。しかし、母は息子たちにはまったく愚痴を吐かないためか、兄から「俺たちには、お母さんのどこがおかしいのか分からない。お前の言っていることの方が信用できない」と責められてしまったといいます。
「この兄の言葉で、何か逆に吹っ切れちゃって……この間、会社に海外勤務の希望を出しました。冷たい娘だと言われてもいいんです。母も、近居の兄と弟に対して愚痴や文句を言わずに済むのであれば、兄と弟が母の面倒を見るべきでは? と思うので。それに母の苦労も、祖父が入院すれば改善されることですよね」
「思い返してみれば、昔から、何かと兄と弟だけが優遇されて、私だけが母のサンドバッグになってたんですよね。1人暮らしが長かったため忘れていました。こうしたことに改めて気付けたことに関しては、祖父に感謝をしています」
悲しいかな、認知症の介護から、これまで封じ込めていた家族の「闇」をも引きずり出されてしまった友人一家。言い換えれば、それほどまでに「介護」が、周囲に負担をかけるということでもあるのです。
認知症患者の賠償責任保険への無償加入、24時間対応のコールセンター、GPSによるかけつけサービスなど、認知症患者を持つ家庭の負担を少しでも減らそうとする取り組みを始めている自治体もあるようです。このような取り組みがなるべく早く全国に広がっていくことを願ってやみません。
(和栗 恵)