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障害を持った6歳児が父親のプロ野球引退試合で始球式 「手が壊れている」と言われても育み続ける「優しさ」の源とは
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2025年9月30日。俳優の美馬アンナさんはドキドキハラハラの1日を過ごしました。プロ野球選手として15年プレーした夫・学さんの引退試合が行われたこの日、なんと愛息・叶(リタ)くんが始球式で投げるという大役を任されたのです。現役生活に幕を下ろす夫と、初めて大観衆の注目を浴びながらマウンドに上がる息子。美馬家にとって“運命の1日”はどんな展開を迎えたのでしょうか。
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引退試合は親子にとっての大舞台
度重なる怪我に泣かされ、2025年には1軍での登板機会がなかった学さんは引退を決意。9月30日の古巣・楽天戦を引退試合とし、現役最後のマウンドに上がることにしました。球団から希望を聞かれたという学さんに「始球式をやらせてもらえないか、聞いてほしい」とダメ元で伝えたアンナさん。球団に快く了承され、感激ひとしおだったと言います。
「夫の引退試合で息子が始球式をし、夫が長らく登場曲とした槇原敬之さんの『僕が一番欲しかったもの』を聴ければ、もう悔いはない。そう思っていたら実現することになって、ウソーッ!と(笑)」
リタくんは先天性形成不全で右手首から先がなく、左を利き手としてボールを投げます。学さんを相手に3度ほど公園で練習をしたものの、捕手のミットまでボールが届くか、不安を残したまま本番を迎えることに。そして当日、球場には2万7000人を超えるファンが客席を埋め……。
「あの雰囲気の中、さすがに息子の顔がこわばって、泣き出すんじゃないかとドキドキしました。でも、パパと一緒にマウンドへ行くとわかったら、スイッチが入ったんでしょうね」
学さんからボールを手渡されたリタくんは、大きく右足を上げながら渾身の1球を投げ込みました。すると、ボールは弧を描きながらノーバウンドで植田将太捕手のミットの中へ。見事な投球に球場は大きな拍手で包まれました。
「『本番に強いのかー!』って笑っちゃいましたけれど、うれしかったですね。投げ終えて戻ってきたときの第一声が『できた!』(笑)。最初は謙虚だったのに、みんなから『すごかったね』と言われ始めると、少し鼻高々になっていたのがかわいくて」
大舞台でも動じず、きっちり役割を果たしたリタくん。プロの世界で15年にわたり、ヒリヒリとする真剣勝負を繰り返してきた学さんの強心臓はしっかり受け継がれているようです。