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障害を持った6歳児が父親のプロ野球引退試合で始球式 「手が壊れている」と言われても育み続ける「優しさ」の源とは
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息子が日常で育む「優しさ」
その他にも、リタくんにはパパ譲りな一面があります。「人に対する優しさ」です。アンナさんが第2子を妊娠中にはたびたび様子を気遣い、今ではイヤイヤ期を迎えた妹に手こずる母を見ると「ララ、にいにと遊ぼ!」と助け船を出してくれることも。赤ちゃん返りすることもなく、「だって、かわいいもんねー」と妹に愛情を注ぎます。
友達に対しても、その姿勢は変わりません。1人でいる子には声を掛け、困っている子がいれば力になる。自分にできないことをできる友達がいると「すごいんだよ!」と話し、友達の長所やすごさを素直に認める強さがあるそう。こういったリタくんの今が育まれたのは、美馬さん夫妻が注ぐ深い愛情、そして周囲の大きなサポートがあるからです。
生まれつき右手首から先のない息子に、ありのままの自分を好きでいてほしいと願う美馬さん夫妻。ときには右手の障害を言い訳にする息子を厳しく叱り、ときには右手のことで辛い思いをしないよう周囲への理解を求めたりしながら、ありのままのリタくんを受け止める「安全基地」として懐深く構えます。
もちろん、出産から今に至るまで、喜び、絶望、悩み、気づき、うれしさ……と紆余曲折の連続でした。息子の成長に従い、体育で縄跳びを使う場面がやってきたり、他の子どもに「手が壊れている」と言われたり、今でも試行錯誤は続きます。しかし、飾らぬ姿で受け止め、歩み続ける夫妻の姿が、リタくんには最高のロールモデルになっているのかもしれません。
同時に、息子に気づかされること、学ぶことも多々あると言います。“ものづくり”にハマっているリタくんは最近、好きなものを自由に作れる工作教室に通っているそう。右手首から先がなくても自分で工夫を重ねながら、頭に思い浮かんだアイディアを器用に作品として形作るのです。
両手が使えずに困るときは、教室の先生に「手伝って」と自分でサポートを頼み、教室が終了すると毎回「○○先生がここを持ってくれたから、僕はこっち側を作ることができたんだ」と報告。「自分1人で作ったっていうことにはしませんね。ちゃんとサポートしてくれた人を教えてくれる。難しさを感じたときに周りのサポートを得ながら、最後までやり抜くことを覚えたようです」と話し、大きな笑顔を咲かせるアンナさん。子どもが秘める可能性の大きさに驚かされる毎日を心から楽しんでいるようです。
(Hint-Pot編集部・佐藤 直子)