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実は野菜トップクラスの栄養素も 春の味覚・菜の花が秘める“パワー” 苦味をやわらげるコツと食べ方を栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

独特のほろ苦さがある菜花(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
独特のほろ苦さがある菜花(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 春を感じる野菜のひとつ「菜の花」。「菜花(なばな)」とも呼ばれ、花芽がついた若い花茎やつぼみを食用にします。かわいらしい見た目とは違って、独特の苦味が特徴です。苦味の正体や理由はいったい、なんなのでしょうか。菜花の苦味をやわらげるコツや栄養面も含めて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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外敵から身を守る役割も

 菜花は、アブラナ科アブラナ属の花芽がついた野菜の総称です。小松菜や白菜、キャベツなどの野菜は、若いうちの葉を食べますが、収穫せずにそのまま育てると、中央にある花芽の部分から花が咲きます。これは、春の訪れとともに子孫を残す準備を始めるためで、ちょうど今がおいしい季節です。

 菜花の味わいの特徴といえば、独特のほろ苦さです。この苦味は、ポリフェノールの一種・ケンフェロールと辛味成分のイソチオシアネートによるもので、抗酸化作用や新陳代謝に関与することで知られています。この苦味成分は、菜花自身が虫などの外敵から身を守るために作り出しているものと考えられています。

 苦味をやわらげたいときは、さっと下ゆですると良いでしょう。茎の太さにより、ゆで時間を調整するのがポイントです。沸騰した湯に、硬い茎の部分から先に30秒ほど、その後やわらかい葉の部分を入れ、20秒ほど下ゆでします。冷水に浸けると余熱が取れて、ゆですぎになりません。

βカロテンやビタミンCが豊富

 菜花の代表的な栄養素は、βカロテンです。必要に応じて体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を強くして、免疫機能をサポートする働きが期待されています。脂溶性ビタミンなので、油脂と一緒にとると吸収率が上がります。

 ビタミンCは、野菜のなかでもトップクラスの含有量です。このほか、鉄やカルシウムなどのミネラルも含みます。美肌対策、免疫機能のサポート、骨の健康や貧血予防を意識する人は積極的にとりたい野菜のひとつです。

 鉄の吸収率を高めるには、ビタミンCと一緒にとると良いといわれています。菜花のビタミンCは豊富ですが、水や熱に弱いため、調理の過程で損失する可能性があります。ユズやレモンなど柑橘類の絞り汁と合わせて、ビタミンCを補うと良いでしょう。カルシウムの吸収率アップには、ビタミンDを多く含むシイタケなどのキノコ類や、魚と合わせるのがおすすめです。

つぼみが開いていないものを選ぶ

 菜花を選ぶときは、つぼみが開いていないものを選びましょう。花が咲いているとえぐみが強く、食感も落ちている傾向にあります。つぼみが密集していて、硬く締まっている状態が食べ頃です。

 葉は、色の鮮やかさと張りを確認しましょう。切り口がみずみずしく、変色していないものがおすすめです。茎の中心に空洞がないものが、より新鮮でおいしいといわれています。

 昔から「春の皿には苦味を盛れ」といわれています。「春は苦味のある野菜を食べて、冬に溜まった老廃物を出す」とする、古く伝わる食事の知恵です。春の訪れを感じながら、菜花を食卓に取り入れていきましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾