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桜を食べる“野生化インコ”が拡大 40年で6倍に増加、3000羽の大群も…専門家が語る実態と対策

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

感染症の媒介や農業被害に懸念 一方、センセーショナルな報道には弊害も

ワカケホンセイインコの調査を続ける日本鳥類保護連盟の松永聡美主任研究員【写真:Hint-Pot編集部】
ワカケホンセイインコの調査を続ける日本鳥類保護連盟の松永聡美主任研究員【写真:Hint-Pot編集部】

 一方で、注意しておきたいのがオウム病の媒介リスクです。オウム病はインコ、オウムだけではなく、ほとんど全ての鳥に自然感染があります。鳥の乾燥したフンや羽毛に含まれる菌を吸入することで発症し、高熱や頭痛、肺炎などを引き起こします。特に妊婦がかかると重篤化する傾向があり、死亡例もあります。ただ、人への感染はまれなので、過度に恐れすぎる必要はありません。インコのフンが多いところではマスクを着用し、清掃などでフンに触れた際は手洗いうがいをするようにしましょう。

 現在、ワカケホンセイインコは鳥獣保護法の対象であり、無許可での捕獲は禁止されています。駆除を行う場合も申請が必要で、今のところ組織的な駆除の動きはありません。大切なのは、庭先の餌台をインコが入れないケージで囲うなど、「これ以上増やさない」ための対策。もし、将来的に特定外来生物に指定されれば、飼育規制や駆除の動きが進む可能性もありますが、現段階ではそこまで人や生態系に影響を及ぼす存在ではないと思います。

 この先懸念されるのは、個体数がさらに増えた場合の生息域の拡大。イギリスではすでに1万羽を超え、ねぐらが各地に分散して個体数の把握も難しくなっています。現在、関東の個体群は埼玉北部までは達していませんが、そこまで広がると果樹やひまわり畑など農地への農業被害が拡大する恐れがあります。都内近郊のように農地が狭ければネットでの対策もできますが、広大な農地ではそれが難しいため、生息域を拡大させないことが大切です。

 報道では「危険生物」と過度にあおるような取り上げ方をされることもありますが、センセーショナルな報道によって苦情が増え、ねぐらの木が剪定(せんてい)されてしまうと、かえって生息域を拡大させる要因にもなりかねません。現在のように、ねぐらが一か所に集中していることが、ある意味で個体数の増加に歯止めをかけている面もあると考えています。ねぐらが分散すればむしろ分布域が拡大し、今まで利用できなかった巣穴や餌資源を獲得することにより、繁殖が進んでしまう可能性もあります。

 ワカケホンセイインコは確かに外来種であり、野放しにしていてもよい存在ではありません。ただ、現時点での影響は限定的。大切なのは、実態を正確に把握しながら、感情的にならずに向き合っていくことではないでしょうか。

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)