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「独身だと思ってつきあっていたのに…」 新入社員が直面した恋愛トラブル 別れ際に明かされた事実 法的に問題になる?
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教えてくれた人:坂本 尚志

新しい環境で出会った相手との恋愛。とくに社会人になったばかりの頃は、職場での出会いが交際のきっかけになることも少なくありません。ところが、相手が「独身」だと信じて交際していたのに、実は「既婚者」だったと後から知った場合、どうなるのでしょうか。こうしたケースは、単なる恋愛トラブルで終わるとは限りません。場合によっては、法的な問題として扱われる可能性もあります。弁護士の坂本尚志先生に話を聞きました。
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独身だと思っていたら
新卒で配属されたのは、社内でも多忙を極める部署。緊張と不安の中にいた私を救ってくれたのは、先輩のAさんでした。30代中盤で仕事ができ、ミスをしても優しくフォローしてくれる。「困ったことがあったらなんでも聞いて」という言葉に、どれほど救われたかわかりません。
仕事終わりの食事が重なり、やがてプライベートでも会うように。自然な流れで交際が始まりました。Aさんは「独身だ」と言い、社内でも家庭の影を一切見せていません。初めての彼氏ができた私は、なんの疑いも持たずに幸せを噛みしめていました。
ところが数か月後、Aさんから突然、「少し距離を置こう」と言われました。理由を聞いても、「仕事が忙しい」「いろいろ考えたいことがある」とはっきりしません。問い詰めた末に発覚したのは、彼が既婚者であるという衝撃の事実でした。
Aさんからは「家庭はうまくいっていない」「いずれ別れるつもりだった」などと説明されましたが、私にとっては、だまされていたとしか思えませんでした。
もし最初から既婚だと知っていたら、交際することはなかったと思います。Aさんは数年前に中途で入社したため、社内でも既婚であることを知っている人は、ごく一部でした。Aさんの行為は、法的に問題ないのでしょうか。
独身と信じて交際 「貞操権侵害」とは
こうしたケースについて、弁護士の坂本尚志氏は次のように説明します。
「相手が既婚であることを隠し、『独身だ』と偽って交際を始めた場合、状況によっては貞操権侵害として不法行為が成立する可能性があります」
貞操権とは、誰と性的関係を持つかを自分で決める権利のこと。相手の重要な事実を知らされないまま交際や関係を持った場合、この権利が侵害されたと評価されることがあるといいます。
「結婚していることは、交際相手にとって非常に重要な情報です。もし既婚であることを隠し、独身だと信じさせたまま関係を持った場合、『相手の判断を誤らせた』として、不法行為責任が認められる可能性があります」
実際の裁判では、精神的苦痛に対する慰謝料の支払いが認められるケースもあります。一方で、すべての場合で責任が認められるわけではありません。
「たとえば、相手が既婚であることを容易に知ることができた場合や、既婚の可能性を認識していたのに関係を続けていた場合などは、貞操権侵害が認められないこともあります」