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「さっぱり」と「濃厚」の差はなぜ? 初ガツオと戻りガツオ 味と栄養の意外な違いを管理栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部、藤田 えみこ

カツオのたたき(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
カツオのたたき(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 古くから日本人に親しまれてきたカツオ。年に2度、旬を楽しめます。地域によって差がありますが、一般的に春にとれたカツオを「初ガツオ」、秋にとれたカツオを「戻りガツオ」と呼びます。栄養面や味わいで何が違うのでしょうか。管理栄養士の藤田えみこさんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

さっぱりとした味わいが特徴の初ガツオ

 今の時期に楽しめるのは、初ガツオです。「上りガツオ」ともいわれ、成長に伴い、黒潮に乗って群れで北上し、春頃に日本近海へやってきます。その後、北太平洋でイワシやイカなどのエサを食べ、秋になると南下して、再び日本近海に戻ってきます。この時期のカツオが戻りガツオで、「下りガツオ」ともいいます。

 同じ魚ですが、とれる季節で味わいに違いがあります。初ガツオはさっぱりとした味わいが特徴で、戻りガツオは脂が乗っていて濃厚な味です。これは脂質量に関係しているといえます。

 脂質量の違いを、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の数値(100グラムあたり、生)で比較すると、初ガツオが0.5グラムに対して、戻りガツオは6.2グラム。実に12倍もの差があります。

 そのため、カロリーも初ガツオのほうが少なめになります。同様に比較すると、初ガツオが108キロカロリーで、戻りガツオは150キロカロリーです。

初ガツオのほうが多く含む栄養成分とは

 そのほか、初ガツオには次のような栄養面での特徴があります。

 まず、体の土台である筋肉や臓器の材料で、体力を維持するために欠かせないたんぱく質でみると、可食部100グラムあたり初ガツオが25.8グラムで、戻りガツオは25.0グラム。初ガツオのほうがわずかに多い傾向があります。

 また、水分バランスを調節し、むくみの軽減や血圧のコントロールをサポートするカリウムは、初ガツオが430ミリグラムで、戻りガツオは380ミリグラム。糖質代謝を促すビタミンB1、脂質代謝に関わるビタミンB2も、わずかですが初ガツオのほうが多めに含まれています。

 ただし、いずれも差は大きくないため、栄養価の優劣というより、季節の味わいとして楽しむと良いでしょう。

おいしい食べ方、選び方

 初ガツオは脂が少ないので、身が引き締まった、さっぱりとした食感が特徴です。脂質が少ない分、火を通しすぎると身が硬くパサパサになりやすいので、刺身やたたきがおすすめです。とくにたたきは、表面をさっとあぶることで香ばしさが加わり、初ガツオの新鮮な味わいが引き立ちます。

 また、ショウガやミョウガ、大葉、ネギなどの薬味を添えると、味にアクセントが加わりさっぱりと楽しめます。ポン酢など、あっさりした味つけとも相性が良いでしょう。

 漬け丼やだし茶漬けにしてもおいしいです。オリーブオイル、塩、レモン汁などで味つけしたカルパッチョにすると、初ガツオのフレッシュさを楽しめます。レモンに含まれるビタミンCは、カツオに含まれる鉄の吸収を助ける働きもあります。

 刺身や、たたきのサクで売られているものを購入する際は、血合いが鮮やかな赤色のもの、身に透明感のあるものが新鮮です。高さがあるものは背身で、カツオ本来の味わいを感じやすいといわれています。平たいものは腹身で、背身よりも脂の乗りが良い傾向があります。

 いずれも、容器にドリップがないものを選びましょう。ドリップが多く出ているものは、旨味や水分が抜けている可能性があるため、なるべく避けてください。春の味覚を、上手に食卓へ取り入れたいですね。

(Hint-Pot編集部、藤田 えみこ)

藤田 えみこ(ふじた・えみこ)

管理栄養士。女子栄養大学卒業後、教育や医療・介護の現場の献立開発に携わる。結婚後、地元山口県へUターン移住。出産・育児を経て、栄養と献立を伝える現場へ転職。コロナ禍をきっかけにオンラインにて料理講師としての活動をスタート。痩せにくい世代へのダイエットメニュー、災害時に役立つ防災食講座などが人気。健やかな体作りのために、栄養や調理など食の知恵を発信する。2児の母。
インスタグラム:jitan.eiyo