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スポーツドリンクを普段飲むのはNG? 医師が教える春の「かくれ脱水」を防ぐ水分補給の方法とは
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教えてくれた人:谷口 英喜
「がぶ飲み」は逆効果 正しい飲み方とは
のどが渇いたとき、つい一気に水分を飲んでしまいがちです。しかし実は、これがかくれ脱水対策として逆効果になることがあります。タイガー魔法瓶の「熱中症と水筒に関する意識調査」によると、春の熱中症の対策を知っていると回答した人のうち、約半数(48.7%)が「正しい飲み方」を誤って認識していることが明らかになっています。
水分を一度に大量に摂ると、血液の濃度が急激に薄まります。すると脳の視床下部がこの変化を瞬時に感知し、「水分は足りている」と判断して、尿量を調整するホルモン(バソプレシン)の分泌を減らしてしまうのです。その結果、せっかく飲んだ水分が体に蓄えられず、尿として排出されてしまいます。
理想的な飲み方は、からだが変化に気づかないよう、少量をこまめに摂ることです。目安としては、2~3時間おきにコップ1杯(150~200ミリリットル)程度を飲むのが良いでしょう。「薬を飲むように、時間を決めて定期的に水分をとる」という意識が習慣づけのコツです。
また、一気飲みを避けるためにストローで少しずつ飲む“ひっそり補水”もおすすめです。一度に飲める量が限られるうえ、ペットボトルなどのキャップを開ける手間もありません。
水分は飲み物だけで補うものではない
水分補給というと飲み物だけに意識が向きがちですが、食事からも十分に水分は摂れます。1食きちんと食べれば300~400ミリリットルほどの水分を補給できると言われています。さらに食事には多くのエネルギーや栄養素が含まれており、食事から摂る水分はゆっくり吸収されるといわれ、体にとどまりやすいとされています。野菜や果物、みそ汁などの汁物を意識して取り入れると、より補水効果が高まります。
体調不良で食欲がない日は、食事から摂れない分の水分を飲み物で補う必要があります。そのような場合に限っては、塩分と水分をあわせて補給できる経口補水液を活用するのも良い方法です。
何をどう飲むかを少し意識するだけで、春のかくれ脱水の予防につながります。ぜひ今日から取り組んでみてください。
(Hint-Pot編集部)

谷口 英喜(たにぐち・ひでき)
済生会横浜市東部病院 患者支援センター長・医師。麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液・栄養管理のエキスパート。日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医。1991年、福島県立医科大学医学部卒業。学位論文は「経口補水療法を応用した術前体液管理に関する研究」。2025年6月20日には新著「『現代バテ』即効回復マニュアル」を発売(評言社)。その他、「熱中症からいのちを守る」(評言社)「いのちを守る水分補給~熱中症・脱水症はこうして防ぐ」(評言社)など著書多数。2023年から、医療従事者の生涯教育サイト「谷口ゼミ」を開塾。
