海外ニュース
「最近の若者はなっていない」はアメリカも同じ? “静かな退職”に日本と重なる価値観とは
公開日: / 更新日:
経験者が有利なアメリカの雇用環境

では、なぜこのような価値観が広がっているのでしょうか。背景のひとつに、アメリカ特有の雇用環境があります。
アメリカでは日本のような新卒一括採用が一般的ではなく、企業は即戦力となる経験者を重視する傾向があります。そのため、大学を卒業してもすぐに希望する職種に就けるとは限らず、まずはインターンやアルバイトで経験を積むケースも少なくありません。
実際、筆者の周囲でも、卒業後すぐにフルタイムで就職する若者は多くありません。家族と同居しながらパートタイムで働いたり、進学して専門性を高めたりと、それぞれのペースで進路を模索している印象があります。
こうした状況のなかで、「無理に背伸びをして働くよりも、自分のペースを守りたい」と考える若者が増えているのかもしれません。
かつては「アメリカの若者は、成人したら家を出て自立する」という時代もあったようですが、それは、もう何十年も前の話。近頃は、子は親に金銭的に依存し、親も親で、社会に出て子どもに苦労させたくないという家庭のほうが、筆者の周辺では圧倒的に多いです。
その後の働き方に悩む人も少なくないのは日本ならでは?
一方、日本では新卒採用が主流であり、卒業と同時に就職する人が多いのが特徴です。しかし、厚生労働省(2025年10月発表)によると、2022年3月卒業者の就職後3年以内の離職率は大卒就職者で33.8%、高卒就職者で37.9%というデータがあります。「就職できること」と「働き続けられること」は別の問題であることがうかがえます。
安定した就職の入り口がある一方で、その後の働き方に悩む人も少なくないという点は、日本ならではの課題といえるでしょう。
アメリカのZ世代の働き方は、一見すると消極的に見えるかもしれません。しかしその背景には、不確実な雇用環境や、働きすぎによる負担を避けたいという合理的な判断もあります。
一方、日本では「まずは就職し、そこで努力を重ねる」という考え方が根強く残っていますが、その結果として早期離職につながるケースも見られます。どちらが正しいという単純な話ではなく、それぞれの社会構造の違いが、若者たちの選択に影響を与えているのかもしれません。
「最近の若者はなっていない」と嘆く声は、時代や国を問わず繰り返されてきました。しかし、その言葉の裏にある背景に目を向けることで、見えてくるものもあるように感じます。
(i-know)

i-know(いのう)
大学卒業後、フリーランスライターに。お笑い雑誌やファッション誌で、著名人のインタビューを中心に活躍。34歳のとき日本のキャリアに一区切りをつけ、単身ニューヨークへ。その後、ハワイのロコ(地元民)と結婚し、現在は2人の子ども(8歳、6歳)をバイリンガルに育てるべく奮闘している。