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更年期の「糖質抜き」は危険? ダイエット中の“賢い”食べ方を栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

ダイエット中に糖質が気になって、控えがちなごはん(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ダイエット中に糖質が気になって、控えがちなごはん(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 更年期は太りやすさや痩せにくさを感じやすい年代です。主食を食べない「糖質抜き」ダイエットが話題になることもありますが、実際のところ体にどのような影響があるのでしょうか。更年期に意識したい食事のポイントについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

糖質は、体や脳に必要なエネルギー源

 主食を食べない「糖質抜き」は、ダイエット法のひとつとして知られていますが、注意したい面もあります。糖質は、体を動かしたり物事を考えたりするときのエネルギー源となる大切な栄養素です。

 脳は1日に約120グラムのブドウ糖を消費するといわれており、不足すると集中力の低下など脳の働きに悪影響が及ぶ可能性があります。また、糖質は体を動かす際にも欠かせません。十分に摂取できていないと、疲れやすさやだるさを感じたり、力が入りにくかったりといった不調につながることも。

 たしかに糖質を抜く方法は、体内の水分が抜けやすくなるほか、主食を減らすことで摂取カロリーが抑えられるため、体重が減りやすくなります。しかし、体重だけに目を向けて主食を食べないのは、エネルギー不足を招いたり、反動で食べすぎてリバウンドにつながったりするなど心身のバランスも崩れやすくなるでしょう。

 とくに更年期は、女性ホルモンの変化や筋肉量の減少により、太りやすくなると同時に体調のゆらぎも起こりやすい年代です。そこに「糖質抜き」で、主食を食べないことが重なると、一時的に体重は減ったとしても、心身の不調を強めてしまう場合もあるでしょう。

主食を抜くよりも、食べ方を整えることを意識する

 更年期の食事で大切なのは、体重を減らすことよりも、筋肉をつけて余分な脂肪を落としていくことです。食事では、主食を一律に抜くのではなく、1食あたり、ごはんなら茶碗小盛り1杯、食パンなら1枚、麺類なら1食分を目安にしながら、必要な栄養をとれる食べ方を意識しましょう。

 糖質は、とり方によっては食後に血糖値が上がりやすい特徴があります。食べ方として、ごはんや麺類、パンなどを食べる際は、先におかずや汁物を口にしてからのほうが良いでしょう。また、精製された白米や小麦粉よりも、精製されていない玄米や全粒粉のほうが血糖値の上昇が比較的穏やかだといわれています。主食の選び方を工夫することも大切です。

 更年期に主菜や副菜で意識したいのは、まずたんぱく質をとることです。筋肉の材料になるため、肉や魚、卵、大豆製品などをしっかり取り入れましょう。成人女性のたんぱく質の1日の推奨量は、50グラムです。

 加えて、食物繊維も意識したい栄養素です。食事の最初に食べる食物繊維には、食後の血糖値の急激な上昇を抑えやすくするほか、満腹感を得やすくして食べすぎを防ぐ働きも期待できます。野菜やキノコ類、海藻類、豆類などから無理なく取り入れると良いでしょう。さらに、糖質の代謝に関わるビタミンB1も意識したい栄養素です。豚肉や納豆などに多く含まれています。

 これらの食品を主食と合わせることで、健やかな体づくりに必要な栄養がとりやすくなります。3食すべてで意識できるのが理想ですが、まずはどれか1食からでも、バランスを整えた食べ方を心がけてみると良いでしょう。1日単位で完璧を目指すのではなく、1週間単位で調整するくらいの気持ちで続けていくことがポイントです。

 更年期は、糖質を抜くのではなく、主食を適量とりながら必要な栄養や食べ方を意識することが大切です。また食はもちろん、運動や睡眠も更年期の体づくりには欠かせません。できることから無理なく整えていきましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾