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「糖質過多で血糖値の急激な変動」が起きることも そうめんだけの食事を続けるのは要注意 管理栄養士が解説
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教えてくれた人:藤田 えみこ

冷たくて、つるつるとした食感が特徴のそうめんは、夏の食卓を代表する麺類です。暑さで食欲が落ちたときでも食べやすく、常備している人もいるでしょう。しかし、そうめんだけの食事が続くと、かえって夏バテになってしまうことも。管理栄養士の藤田えみこさんに、暑さを乗り切るそうめんの食べ方について伺いました。
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そうめんの主成分は糖質
暑い日の食事に便利なそうめん。のど越しの良さに加え、ゆで時間が短く、つゆと薬味があればすぐに食べられるところも魅力です。
そうめんの原材料は小麦粉、食塩、水で、主成分は糖質です。糖質はエネルギーの源になりますが、単体だとエネルギーになりにくい性質があります。そのため、そうめんだけの食事を続けていると、活動に必要なエネルギーが作り出せず、疲れやすくなって夏バテにつながりやすい状態に。
また、そうめんに限らず、ごはんや糖質が多いものだけを食べたり飲んだりすると、急激な血糖値の変化が起こります。血糖値が急上昇するので、一時的に元気が出た気がしますが、少し時間が経つと急降下するため、一気に疲労を感じやすくなるのです。
以上のことから、そうめんだけといった偏った食事を続けていると、必要な栄養素が不足します。そのうえ、糖質過多で血糖値の急激な変動を招き、かえって疲労感が増して、夏バテを引き起こしやすくなってしまうのです。
そうめんと一緒にとりたい3つの栄養素とは
そうめんの糖質をうまく活用して夏を元気に乗り切るには、組み合わせる食材にひと工夫を加えることが大切。とくに意識したいのが、「ビタミンB1」「食物繊維」「たんぱく質」の3つの栄養素です。
○ビタミンB1
糖質をエネルギーへ変えるために欠かせない栄養素です。豚肉やウナギ、玄米、枝豆、納豆などに多く含まれています。さらに、ネギやニンニクに含まれるアリシンと一緒にとることで、ビタミンB1の吸収が高まり、効率良くエネルギーに変わりやすくなります。たとえば、そうめんに豚しゃぶや枝豆、刻んだネギなどをトッピングすると、夏を元気に過ごすための一皿になるでしょう。
○食物繊維
血糖値の急激な上昇を抑えるほか、腸内環境を整える効果も。オクラや海藻類などのネバネバ食材や、食物繊維の豊富な食材を取り入れると、そうめんだけでは不足しがちな栄養バランスを補うことができます。
○たんぱく質
体の土台である筋肉や臓器の材料で、体力を維持するために欠かせません。そうめんにはたんぱく質がほとんど含まれていないため、鶏のささみや卵、豆腐、ツナ、厚揚げなどを一緒に取り入れてみましょう。
また、胃腸が弱っているときは、温かいつゆがおすすめです。定番のにゅうめんのような和風だしをはじめ、豆乳スープやトマトスープなど、バリエーションはさまざま。いろいろな食材と合わせて食べましょう。
そうめんは組み合わせる食材によって栄養バランスが整い、エネルギーを生み出す、夏バテ予防の食事になります。食欲が落ちがちな季節こそ、食から元気に夏を乗り切りたいものです。
(Hint-Pot編集部)

藤田 えみこ(ふじた・えみこ)
管理栄養士。女子栄養大学卒業後、教育や医療・介護の現場の献立開発に携わる。結婚後、地元山口県へUターン移住。出産・育児を経て、栄養と献立を伝える現場へ転職。コロナ禍をきっかけにオンラインにて料理講師としての活動をスタート。痩せにくい世代へのダイエットメニュー、災害時に役立つ防災食講座などが人気。健やかな体作りのために、栄養や調理など食の知恵を発信する。2児の母。
インスタグラム:jitan.eiyo
