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「親と金はいつまでもあると思うなよ」 元警察官の社長が手渡す“1万円”の真意 父との別れ、年商20億円までの軌跡に隠された後悔と誓い

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

代表の稲場基泰さん【写真提供:株式会社トラーチ】
代表の稲場基泰さん【写真提供:株式会社トラーチ】

「親と金はいつまでもあると思うなよ」――そう言って社員に手渡した、1万円の「親孝行手当」。太陽光発電や蓄電池の販売・施工を展開する株式会社トラーチの代表、稲場基泰さんが展開するユニークな施策の数々の根底には、自身の特異な経験がもとになっています。設立からたった4年で年商20億円以上の企業を築き上げた稲場さんはなぜ「人を大切にする経営」にたどり着いたのか。その原点をお聞きしました。

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懐中電灯を片手に猛勉強

 稲場さんの経営哲学の原点は、19歳で訪れた早すぎる父の死、そしてその後に歩んだ警察官時代にあります。警察官だった父の背中を追い、稲場さんは大学卒業後、大阪府警察学校に入校しました。

「親孝行なんて、何一つできなかった。父が偉大だったと証明するには、自分が成功するしかない。天国で『ようやったな』と言われたい。その一心でした」

 その強烈な執念は、警察学校での行動に現れます。

「僕は覚えるのが苦手やったんで、『午後11時からが勝負』と決めて、消灯後から朝の4時過ぎまで、懐中電灯をつけて猛勉強しました。入校初日から6か月、あれを毎日やってたのは絶対僕だけやという自負があります。睡眠時間2時間で乗り切りましたから」

 その末に、同期約700人のなかでトップの成績を収め、最年少で警部補へと昇任。捜査一課の最前線で事件を追うエリートコースを歩んだといいます。しかし、そこで待っていたのは思わぬ壁でした。

「僕はバリバリ仕事してんのに、交番でゆっくりしてる同期と給料がほぼ一緒なんですよ。腹立つじゃないですか。切ないじゃないですか。若くても頑張った人間が、ちゃんと給料上がるような仕組みを作りたいと強く思いました」

 このときの実感が、のちの経営の土台となっていきます。