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コミュニケーションへの不安は“心の弱さ”ではない 「人見知り」と諦める前に知りたい脳のサインとは 医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:飯島 慶郎

息を4秒吸い、8秒吐く 心を鎮める「横隔膜呼吸」

 不安に襲われたとき、即効性が期待できるのが「横隔膜呼吸(腹式呼吸)」です。4秒吸って8秒かけて吐きましょう。コツは、お腹をへこませて息を「吐き切ること」です。吐き切れば、次の深い呼吸は自然に入ってきます。

 同時に、足の裏が床に触れている感覚など、物理的な感覚に意識を戻してください。頭の中で何度も再生される不安な考えから、意識を引きはがすために身体感覚を使います。

 日常的にできるセルフケアとしては、睡眠の確保、適度な運動、そしてカフェインとアルコールを控えることを心がけると良いでしょう。

症状が継続的なら、医療機関の受診を

 不安のために、本来やりたいことややるべきことが持続的に制限されているのなら、それは医学的介入を検討すべき水準になります。不安が理由で昇進を断ったり、役割を回避したりしているのであれば、それは単なる性格的な内気さとは別物です。

 通常の人見知りは、場数を踏み慣れることで和らぎますが、社交不安症は、場数を踏むほど回避行動が強化され、悪化していきます。とくに以下のいずれかが6か月以上続いていれば、受診を検討しましょう。

・会議での発言や電話応対、報告などを避けるために、仕事や生活を変えざるを得ない
・その場面を想像するだけで、動悸や吐き気が出る
・「周りから変に思われている」という考えが頭から離れず、日常的に反芻(はんすう)している
・不安を和らげるために、アルコールや薬の量が増えている

 社交不安症に苦しむ人は、他者の感情に細やかに気づける優しい人です。ただ、その繊細さが自分に向けられたとき、過剰な自己批判になってしまいます。会議などのあとに自分を責めるのは、外からの批判ではなく“自分の中の裁判官”に責められているからです。

「うまく話せなかった」と責める代わりに、「今日はあの場に身を置けた」という行動の事実だけを認めてあげましょう。他者に向けられるその優しさを、どうか自分自身にも向けてあげてください。社交不安症は、人格の問題ではなく「脳の回路の反応」で、適切なケアが必要です。ひとりで抱え込まず、医療機関に相談しましょう。

(Hint-Pot編集部)

飯島 慶郎(いいじま・よしろう)

不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニック院長。精神科医・小児心療内科医(精神科専門医取得中)。島根医科大学卒業後、三重大学で総合診療を学び、地域医療と並行して2018年に出雲市で開業。不登校外来を中心に、子どもから大人までの対人不安・社交不安症の診療にも力を入れる。著書に「不登校は病気?─医師の診断が子供と家族を救う」(みらいパブリッシング刊)ほか。「不登校の背景には多くの精神疾患が潜んでいる」という臨床的立場から、若年期から続く対人不安に切れ目のない医療接続を志している。