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西郷隆盛が好きすぎてー 27歳で鹿児島へ移住した43歳女性 魅力的な人物との出会いで変わった人生
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子どもの頃は“野生児” きっかけは読書好きの両親
元々“歴女”というわけではなく、小さい頃から歴史や本好きだったのかと言うと「それほどでもなかった」という。むしろ、読書とは無縁で“野生児”のようだったと、活発だった自分の子ども時代を振り返る。
「まるで野生児のように山で遊び回っていました。父が家の周りの森をアスレチックのようにしてくれていて。いかに木から降りずに移動できるかなど、ターザンのように遊んでいました」
成長するにつれて、読書好きだった両親の本棚から本を読み始めるようになったという。特に父親の本棚には歴史ものや時代小説の本がずらりと並んでいた。
「私は、いわゆる女子に人気の流行している本が好きだったのですが、そのうちに父親の本棚にあった本を読み出すようになって……。時代小説や歴史の本を読むようになり、『こんなことが実際にあったんだ!』とすごく感動したんです。まさに『事実は小説より奇なり』だなと。そのことが、ハマっていった最大の理由でしたね」
夢中になった。そして、「西郷隆盛」に出会った。
「鹿児島に行けば西郷隆盛に関するものが数多くある」と思い鹿児島を訪れることに
本や映画、ドラマなどの登場人物に憧れて、実際にその地を訪れたり、「会いに行きたい」と思う人は多いだろう。安川さんもその1人。すぐに鹿児島旅行を計画する。
「鹿児島に行けば、例えばお墓とか、西郷隆盛に関するいろいろなものがある、いろいろなものを見ることができると考え、鹿児島に旅行に行ったんですね。そこで、西郷隆盛に関係するいろいろなものを見て、いろいろな話を聞いて戻ってきて……。でも、またすぐに行きたい! となって。それで半年後にまた行って」
戻ってくるとまた行きたくなり、再び鹿児島へ……。西郷隆盛が好きすぎて、そんな生活を7年近く続けた安川さん。そして、ついに「その時」がやってきた。
「年に2回の鹿児島旅行を続けていて、西郷隆盛に関する知識は増えていったのですが、私の中に、西郷隆盛の本質が掴めていないという意識がわいてきました。どうしたら西郷隆盛にもっと近づけるのだろう? と考えるようになったんです」
そして、たどり着いた答えが移住だった。
「現地に住んでみないと分からない風土とか、気候とか、四季の移ろいを肌で感じるとか、桜島を毎日見つめるとか、そういうことをしてみないと、きっと近づけないんだろうなと。それを経験することで、西郷隆盛の本質が見えてくるんだろうな、と思うようになったんです。そこで、もう後先は考えず、鹿児島に移住しよう、と」
西郷隆盛が好きな理由は何なのだろう。素朴な疑問を投げてみた。
「いざ、という時に覚悟を決められることだと思います。それと、あれほどの偉人でありながら、とても庶民的な感覚を持っていたり、人間味にもあふれていたり。知れば知るほどのめり込んでいって、もっともっと西郷さんのことを勉強したい、知りたいと思う中で、自分にとってはただの歴史上の人物ではなくて、生きるお手本、道しるべ的な存在になっていたのです。実際になれるわけじゃないけど、人の目ばかりを気にして守りに入るより、西郷さんみたいに『覚悟を突き通せる人になりたい』と思っています」
27歳の春。安川さんは、ずっと慣れ親しんできた地元を離れ、鹿児島に移住した。西郷隆盛を追いかけて。後編では「移住する前、した後、実際の思い」について迫る。
(Hint-Pot編集部・風間 久志)