カルチャー
寿司、ラーメンの次は「お弁当」 創業138年の老舗駅弁屋がパリに挑む、日本の食文化を世界へ広げる20年越しの夢
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海苔やひじきも「日本らしいもの」

現在、パリの店舗では、注文を受けてから提供するスタイルで、温かいごはんが入った6種類のお弁当を提供しています。価格は13ユーロ(約2400円)から25ユーロ(約4600円)。カフェでの気軽なランチも20ユーロ(約3700円)を超えるパリでは、むしろリーズナブルな価格設定です。
ラインナップは、現地の食材や嗜好を意識しながら構成しました。世界的にも人気の高い和牛を使った「和牛すき焼き重」に加え、日本より質の高いものが手に入るというサーモンを使った「サーモンの西京焼き」も好評です。
「西京焼きは珍しいので打ち出してみたところ、非常に喜ばれています」
さらに、パリの多様な食の嗜好にも応え、ヴィーガン対応の揚げ出し豆腐も用意しました。
一方で、お弁当の脇を彩るひじきの煮物や海苔といった食材には、当初こそ戸惑うお客様もいたそうです。しかし、「今は黒いものへのマイナスな反応はありません。日本らしいものとしておもしろがって食べていただいています」と、竹田社長。口コミでは「本場から来ている」「おいしい」と好意的な声が並んでいます。
今後はデザートや焼き芋にアイスを乗せたメニュー、味噌カツサンドなど、手軽に楽しめるラインナップも増やしていく予定です。
お弁当は「持ち運べる広告」になる
竹田社長が海外展開を通じて気づいたのは、日本人にとって日常すぎて見えていなかった“お弁当の価値”でした。海外ではアニメの影響もあり、お弁当は「特別なもの」として受け止められているといいます。
その実感を強くしたのが、まねき食品も出店した2025年の大阪・関西万博でした。会場内のレストランには長蛇の列ができ、多くの来場者がテイクアウトした食事をベンチなどで楽しむ光景が広がっていました。
「ベンチでいろいろな国の方が並んでお弁当を食べている光景は素晴らしいものでした」
竹田社長は、お弁当には“持ち運べる”からこその強みがあると考えています。万博で目にした光景を通して、その価値はフランスでこそさらに発揮されると、改めて実感したといいます。
パリではカフェのテラスや公園、街なかのベンチで食事を楽しむ文化が根付いています。お弁当を手に外へ出る人が増えることで、日本のお弁当文化も自然と街なかに広がっていくと考えています。
現在、ロンドンやイタリアからの引き合いもあり、ヨーロッパ展開をさらに広げていく構想もあります。
「駅の中でできれば最高ですね。この『お弁当』という文化をどれだけ進化させられるか、ベンチャーとして追求していきたい」
そう笑う竹田社長の目には、ヨーロッパの歴史ある駅構内にお弁当が並ぶ未来がすでに見えているようでした。
(Hint-Pot編集部)
