Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

仕事・人生

実家を着信拒否 虐待の連鎖を断ち切った女性が“サバイバー体験”を描く理由

公開日:  /  更新日:

著者:古川 諭香

大人になってからのM(えむむ)ちゃんさん【画像提供:M(えむむ)ちゃん(@emmchan_min_oka)さん】
大人になってからのM(えむむ)ちゃんさん【画像提供:M(えむむ)ちゃん(@emmchan_min_oka)さん】

 暴力やネグレクトなど衣食住を脅かす虐待だけでなく、怒鳴り声や恐怖に支配された日常もまた、子どもの心を深く傷つけます。母親から受けた精神的虐待を漫画で描く、M(えむむ)ちゃんさん(@emmchan_min_oka)は、39年かけてようやく、自分を「虐待サバイバー」と認められるように。現在の母親とは付き合い方や、虐待の連鎖を断ち切るための子育てとの向き合い方を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

実家からの電話を着信拒否…たどり着いた安全な境界線

 母親には精神疾患があり、幼い頃からその激しい感情の起伏に振り回されてきたMちゃんさん。短大卒業後に実家を離れたあともPTSDのような症状に苦しみ、39年かけて、母親から受けてきたものは「虐待」であったと気づくことができました。

 しかし、その気づきによって苦しみが消えたわけではありませんでした。一時期は気分が高まった母から電話が1日に何件も来たこともあり、母親との関係に悩み続けていたといいます。

 さらに2025年1月末頃には、母親から届いた手紙をきっかけに心が限界を迎え、初めてメンタルクリニックを受診しました。

 医師は過去の出来事を丁寧に聞いてくれたそう。しかし、問題を解決するにはMちゃんさんではなく、母の治療をすることに尽きるという見解でした。医師の丁寧な対応をありがたく思いつつも、Mちゃんさんは複雑な気持ちに。

「取り除くことができないこの苦しみは、誰が癒してくれるのだろうって……。不安いっぱいのまま世の中に放流されたような感覚でした」

 現在は父親に事情を説明したうえで、実家からの電話を着信拒否しています。

「父のことを責める気持ちはありません。今は、戦友のように思っています。父に『話せるときは、こちらから連絡する』と伝えて、必要最低限の距離感を保っています」

 ただ、娘の誕生後は新たな葛藤も生まれました。娘から祖母という存在を完全に取り上げてしまって良いのかと複雑な気持ちになることはあります。