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「自分たちの価値を低く見積もり、自分で自分の首を絞めている」 世界遺産を擁する観光地 疲弊しない未来を作る挑戦とは
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ユネスコ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録資産・熊野那智大社と那智山青岸渡寺を擁する和歌山県・那智勝浦町。熊野古道の終着点のひとつであるこの地は、日本有数のマグロの水揚げ港としても知られており、新鮮な生マグロが味わえる場所としても人気です。しかし、これほどの魅力を持ちながら、その価値を十分に活かしきれていない現状に危機感を抱き、変革に挑む人物がいます。この地に建つ老舗ホテル「ホテル浦島」を運営する浦島観光ホテルの代表取締役社長で、一般社団法人那智勝浦観光機構の理事長も務める松下哲也さんです。松下さんが目指す地方観光の未来とは。
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「社長辞めたほうがいい」 バンコクの友人から届いた痛烈な言葉
那智勝浦には、世界に誇れる2つの宝があります。ひとつは、1000年以上の歴史を持ち、熊野三山の一社、熊野那智大社と那智山青岸渡寺。そのすぐそばには、日本一の落差133メートルを誇る那智の滝があり、古くから人々の畏敬を集めてきました。
もうひとつは、日本有数のマグロの水揚げ港として知られるこの地ならではの、陸揚げされたばかりの「生マグロ」です。延縄(はえなわ)漁法による生マグロの水揚げ量は日本一を誇ります。
松下さんは2年半ほど前、ホテル経営に携わるため、大阪から那智勝浦へ移り住みました。間もなく、自分たちがこの地の価値を十分に理解しないまま、安く提供していることに気づかされる出来事があったといいます。
バンコクで5つ星ホテル向けのアメニティ事業を手がける、富裕層の友人がホテル浦島を訪ねてきたときのことでした。那智勝浦ならではの生マグロに感動した友人に、食事のあと、こう尋ねられたそうです。
「ところで、これいくらで売っているの?」
松下さんが「1泊2食付き2名で5万円ほど」と伝えた瞬間、友人の顔色が変わりました。
「社長のセンスがないから、もう辞めたほうがいい。なんでこれがこんなに安いの? ふたりで10万円でも全然安いよ!」
こんこんと友人からの説教が続き、「このマグロと料理人をバンコクに連れてきてくれ。全部お金払うから」とまで言われたといいます。松下さんはその言葉を受け止めながら、こう振り返ります。
「海外の人から見たら、それだけの価値があるんです。日本人は自分の国の観光の価値を低く見積もりがちかもしれません。本当に良いものを知っている人は、その価値に正当な対価を払うんです。自分たちの持っているものの価値を低く見積もりすぎて、安売りして、自分で自分の首を絞めている。まさにそういう状態なんですよね」
