仕事・人生
「できない人として見られ続けるのは少し寂しい」 24時間介助で暮らす重度障害者が語る“信じる勇気”
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「なければ作るしかない」 重度障害者向けの自立生活センターを立ち上げて

支援と医療が組み合わさった環境で暮らせているからこそ、“生きる不安”に押しつぶされることなく、前向きに日常を積み重ねていける。そう話すかずさんは現在、長崎・長崎市にある「ながさき自立生活センターこころ(CIL KOKORO)」を運営しています。
かずさんがセンターの設立に取り組んだのは、当時の長崎県には重度障害者の自立支援を行う自立生活センターがなかったからです。
「なければ、やるしかないという思いでした。当センターの支援の根幹は、障害者自身が自分の人生の主人公であるという考え方です。『こうすべき』と管理するのではなく、本人の意思で選べる暮らしを尊重し、寄り添う姿勢を大切にしています」
センターでは障害当事者のスタッフが相談員となって話を聞く「ピアカウンセリング」や、地域で自立した生活を始めるために必要なスキルや知識を学ぶ「自立生活プログラム」などを行っているそう。
施設や病院などを出て地域生活で暮らすことを望む人には住まいの確保や生活準備など、必要な支援を提供しています。
「親亡き後」を不安に思う当事者たちへ

障害の重さは変わっていない。できないことも変わっていない。でも、自立生活で得られる「自分の人生を自分で生きている」という感覚が自信を作ってくれた――。そう話すかずさんは、かつての自分と似た状況にいる障害者の願いが、ごく自然なこととして受け止められる社会を目指し、センターの運営に力を注いでいます。
「重い障害があっても、ヘルパーさんたちと一緒に自分で選び、自分で決めて、自分らしく生きていける。そのことを自分の生活で体現し続けたいと思っています」
我が子に障害があると、心配な気持ちが募って過保護気味になることもあるもの。しかし、かずさんは、“我が子を守る”の先にある“信じる”を大切にしてほしいと話します。
「できない人として見られ続けるのは、少し寂しい。不思議なもので、信じてくれているというエネルギーは心に届きます。できないことが多くても、本人の選択を待ってみる。そんな信じる勇気が、お子さんにとっては最大のプレゼントになるかもしれません」
また、今まさに親亡き後を想像し、不安が募っている当事者には「まず一歩踏み出してほしい」と背中を押します。
「最初は怖いし、迷いもある。それでも、外出をしてみたり、ヘルパーと夜を過ごしてみたり、小さな一歩を踏み出してみるといいかもしれません。その小さな行動の積み重ねが、『無理かもしれない』を『できるかもしれない』に変えていくと思います」
小さな一歩を機に、諦めていた未来が掴めることもある。かずさんの歩みは、「親亡き後」に不安を抱える当事者や家族に、新たな選択肢があることを教えてくれます。
(古川 諭香)