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「100回たたかれて気絶したことも」 宗教2世女性が語る壮絶な“ムチ打ち”の日々

公開日:  /  更新日:

著者:古川 諭香

母に信じてもらえなかった 9歳で経験した性被害

時代的流れもあり、5歳下の弟は中島さんほどムチ打ちはされなかった【写真提供:中島みきさん(@miki_nakag)】
時代的流れもあり、5歳下の弟は中島さんほどムチ打ちはされなかった【写真提供:中島みきさん(@miki_nakag)】

 9歳の頃には、家庭教師として勉強を教えてくれていた、7歳上の男性信者から性被害を受けました。ボディタッチが増え、奉仕活動の帰り道などに「パンツ見えちゃうよ」などの性的な言葉をかけられるようになったことから怖くなり、母親に相談。ところが、「そんなことする人じゃない」と一蹴されてしまったそうです。その男性信者は後に、性的問題で排斥(教団から追い出されること)になっています。

「エホバには、性欲は抑圧すべきという教えがあります。成人向けの雑誌やビデオも禁止。ムチ打ちは愛と教え込まれるので、ゆがんだ形でしか性的欲求を満たせなくなってしまうというケースも、決して珍しくないと感じています」

 13歳の頃、家庭では両親の離婚話が浮上。父親がいなくなるかもしれないという不安に襲われた中島さんは、エホバという宗教上の父にすがりたい想いから、14歳で洗礼を受けました。

 しかし、どれだけ熱心に祈っても、家庭の崩壊や心の傷が癒えることはありませんでした。

居場所だった親友を失い、排斥で崩れていった人生

 不安定な心に寄り添ってくれたのは、フリースクールでできた親友です。宗教とは無関係の家庭で育った彼女を通して、中島さんは今まで見たことがなかった世界を知り、「私はエホバの子ではない、人間なんだ」と気づいたそうです。

 しかし、ようやく掴みかけた「外の世界」とのつながりは、あまりにも突然に断ち切られてしまいます。心のよりどころだった親友が非行により鑑別所へ入ってしまったのです。

 唯一の居場所を失ったと感じた中島さんは、底知れぬ孤独から自暴自棄になり、非行や自傷行為を繰り返すようになります。親友の行動を模倣することで心の穴を埋めようとしていたのです。

 ところが、どれだけ荒れた生活を送っても、幼少期から植え付けられた「神の目から逃れることはできない」という恐怖心から逃れることはできませんでした。「自分の犯した罪を誰かに話さなくては……」という強い罪悪感と強迫観念に駆られた中島さんは、いてもたってもいられなくなり、自身の行為を母に告白。

 すると、母親はすぐに教団に報告し、審理員会が開かれました。審理の結果、中島さんに下されたのは排斥でした。

 家族や信者仲間から存在を「いないもの」として無視され、コミュニティから完全に抹殺される――。幼少期からその恐怖に怯え、縛られ続けてきた中島さんにとって、排斥のショックは計り知れないものでした。そして、生活はより一層荒れていきます。

「地元にいることすら罪のように思えて、原宿や新宿で家出同然のストリート生活をしました。死にたいのに死ねなかった。唯一浮かんだ、自分の家庭を持つという希望に生かされていました」

 排斥されてからは、当時若者の間で流行っていたmixiを通じて、家に住ませてくれる彼氏を見つけ、転々とする日々を送りました。精神的にも経済的にも追い詰められたなか、そうして必死に命をつなぎ止めていたといいます。

「温かい家庭を持ちたい」という唯一の希望を胸に、24歳で結婚。しかし、そこで待っていたのはさらなる苦難でした。結婚した相手から激しいDVや性暴力を受けるようになり、さらにその男性がアルコール依存症であることも発覚したのです。

 周囲の助けを借り、結婚から1年ほどで離婚できましたが、中島さんは今もさまざまな生きづらさを抱えています。後編では、彼女が抱える現在の苦しみや当事者が思う“宗教2世にとって必要な支援”をお伝えします。

(古川 諭香)