仕事・人生
「投稿していた気持ちに嘘はありません」 38歳で悪性リンパ腫 美容師がたどり着いた境地
公開日: / 更新日:
前向きながん患者であり続けた理由

インスタグラムでは一貫して、前向きに自身の闘病を綴っていたけいさん。つらいことも多い治療中、なぜ、けいさんは明るい投稿をし続けることができたのでしょうか。その背景には、息子さんへの深い愛がありました。
自分が万が一亡くなったとき、インスタグラムを通して我が子に父親がどのようにがんと闘い、生きていたのかを伝えたい。そう思ったため、弱音を吐かなかったのです。
「投稿していた気持ちに嘘はありませんが、強がっていた部分もあったかもしれません。どこまでも前向きで、かっこよくありたくて」
そんな想いから日常を投稿していると、多くの人から激励のメッセージが届くように。温かい言葉の数々に触れたけいさんは「一緒に闘っている人たちにも元気を届けたい」と思うようになりました。
「応援してくれているフォロワーさんたちには今も、心から感謝しています。自分が良い方向に変わることができましたし、寛解にもつながったと思っています」
そう話すけいさんは闘病中、「病気になった自分」と「本当の自分」を切り離して考えることで感情のコントロールをしていたそうです。落ち込みそうになったときには一度、現状を客観視。すると、「ごはんがおいしくて幸せ」「少しでも体調が良くなって幸せ」など、今の自分が掴めている幸せの尊さに気づけたと言います。
「病人って、誰かに病気だと言われてなるもの。医者からがんだと言われるまで、私は病人じゃなかった。だから、自分が自分を病人だと思わなければ、病人にはならないんじゃないかなとも思ったんですよね」
がんになったことで、人にも自分にも優しくなれたし、感謝をちゃんと伝えられる人間になれた――。そう話すけいさんは自身と同じく、若くしてがんを患った人に向けてエールを送ります。

「らしくないことを頑張ってやってみると、何か良いことがあるかもしれません。私の場合、それがインスタグラムの投稿だったし、ポジティブに周りを気遣うことでした。良いことをしていたら不思議と、良いことが返ってきたように思います」
前向きな気持ちを大切にしながら、がんと闘い抜いたけいさん。彼の言葉は困難と向き合う人に、そっと寄り添うことでしょう。
(古川 諭香)