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「国立なら学費は出す。私立なら差額は自分で」 医師を目指す息子に夫が示した条件 妻が抱えるモヤモヤに夫婦カウンセラーがアドバイス

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

夫の「真意」を聞き出すことから始めよう

 息子の進路について、自分の意見に耳を傾けようとしない夫に不満を抱いている紗友里さん。夫婦カウンセラーの原嶋めぐみさんは、夫の考えを変えさせようとする前に、まずは「なぜその条件を示したのか」を聞いてみてほしいと話します。

「夫は医師として働いているからこそ、医学部受験の厳しさや、その先の医師としての働き方について、紗友里さんとは違うものが見えているのかもしれません。また、3人のお子さんがいるなかで、教育費をどこまで負担するのかという考えがある可能性もあります。『どうして国立なら全額、私立ならそこまでと考えているの?』と、まずは夫婦だけで話してみてください」

 その理由がわかれば、紗友里さん自身も、自分が何に納得できていないのかを伝えやすくなります。

「『息子の夢なんだから応援してあげて』と求めるだけではなく、『まだ中学生なのだから、今の段階で選択肢を狭めたくない』『最終的に私立しか選択肢がなかったときには、その時点でもう一度考えたい』など、自分がどうしたいのかを具体的に伝えてみましょう。そのうえで、もし多額の学費が必要になった場合、家庭として何ができるのかも一緒に考えていけばいいと思います」

 幸い、次男はまだ中学2年生。実際に大学を受験するまでには時間があり、今後、本人の希望や成績が変わる可能性もあります。

「今すぐ『私立医学部なら誰がお金を出すのか』まではっきりさせる必要はないでしょう。息子さんが本当に医師を目指したいのであれば、まずは今できる勉強を頑張ってもらう。その姿を見ながら、夫婦も教育費について考えていけばいいのではないでしょうか。本人の頑張りを見て、お父さんの考えが変わることだってあるかもしれません」

 これまで、長男や長女の進路では大きく意見が食い違わなかったからこそ、紗友里さん夫婦は、子どもの教育にどこまでお金をかけるのかを具体的に話す機会がありませんでした。今回の出来事は、夫婦それぞれの考えを知るきっかけにもなります。

「親ができる限り学費を負担したいという紗友里さんの考えも、一定の条件を設けたいという夫の考えも、どちらかが絶対に正しいというものではありません。問題なのは、どちらか一方の考えだけで決めてしまうことです」

 夫に考えを変えてもらうことをゴールにするのではなく、まずはお互いがなぜそう考えているのかを知ること。そのうえで、息子の成長や家計の状況を見ながら、夫婦としての方針を決めていくことが大切だと原嶋さんは話します。

「紗友里さんが一番引っかかっているのは、私立医学部の学費を出してくれないこと以上に、自分の意見を聞いてもらえないことなのだと思います。であれば、『お金を出してほしい』ではなく、『子どもの進路については、私の考えも聞いて一緒に決めてほしい』と伝えるところから始めてみてください」

(和栗 恵)