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からだ・美容

夏の便秘、「水をたくさん飲めば良い」は間違い? 医師が指摘する暑い時期の落とし穴

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:安江 千尋

夏の便秘、水分を多くとれば改善する?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
夏の便秘、水分を多くとれば改善する?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 涼しさを感じることも増えましたが、蒸し暑い日がまだまだ続くとみられています。暑い時季に便秘が気になると、「水分が足りないのでは?」と考え、意識して水を多く飲む人もいるでしょう。たしかに、水分不足は便秘を悪化させる要因のひとつです。ただ、暑い時季の便秘は、それほど単純ではないようです。水分補給だけでは改善しないケースには、どのような原因があるのでしょうか。天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニックの安江千尋院長に伺いました。

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水分不足だけではない 夏に便秘が悪化する理由

 便秘というと「何日も便が出ないこと」だと思われがちですが、それだけではありません。毎日出ていても、便が硬い、排便時に強くいきむ、便意があるのに出にくい、排便後も残っている感じがするといった場合は便秘です。

 一般的には、排便回数が週3回未満であることがひとつの目安ですが、回数だけでなく、便の硬さや排便のしにくさ、残便感なども判断材料になります。

 夏に気づきやすい変化のひとつが、便が硬くなることです。汗をかいて脱水傾向になると便が硬くなり、排便しにくくなることがあります。

 ただし、便秘のすべてが水分不足によって起こるわけではありません。便秘には、便が硬いタイプのほか、大腸内を進むのが遅いタイプ、肛門付近でうまく出せないタイプなどが存在します。そのため、すでに十分な水分をとれている人が、水だけを大量に飲んでも改善しないことがあるのです。

そうめんだけで済ませていない? 食事の「冷たさ」より注意したいこと

 夏は食欲が落ち、食事量が減りやすくなります。食べる量が減ると便の材料が少なくなることで、食後に大腸が動く「胃結腸反射」が起こる機会や刺激も減少。とくに朝食を抜くようになると、朝の自然な便意を逃しやすくなります。

 また、食欲がないからと、そうめんだけ、パンだけ、おにぎりだけといった食事が続くのも注意が必要です。問題は食べ物の「冷たさ」ではなく、食事が単調になり、食物繊維やたんぱく質、脂質などが不足することです。

 そうめんなら、オクラやワカメ、キノコ、納豆や豆腐、卵や鶏肉などを加えると、食物繊維や栄養バランスを補えます。生野菜サラダも、レタスやキュウリだけでは食物繊維が十分とは限らないため、豆類や海藻、キノコ、根菜、果物などを組み合わせると良いでしょう。

 ただし、便秘を改善しようと食物繊維を急に、大量にとるのは逆効果になることがあります。すでに硬い便が詰まっている人や、腸の動きがかなり遅い人は、お腹の張りや痛みが悪化することも。食物繊維は少しずつ増やし、水分も一緒にとることが大切です。

暑さで変わる生活習慣にも注意

 水分や食事だけでなく、夏は活動量や生活リズムの変化も便通に影響します。猛暑で外出や散歩が減ったり、室内で長時間座って過ごしたりすることで、活動量が低下しやすくなるのです。

 また、夜間の暑さで睡眠が浅くなったり、食事や排便の時間が不規則になったりすることも、便秘を悪化させる要因になります。

 つまり、夏の便秘は水分不足だけでなく、食事量や活動量の低下、生活リズムの乱れなどが重なって起こりやすくなります。「便秘だから水をたくさん飲む」と考えるだけでなく、食事や日々の過ごし方にも目を向けることが大切です。

(Hint-Pot編集部)

安江 千尋(やすえ・ちひろ)

防衛医科大学校医学科卒業。がん研有明病院下部消化管内科副医長を経て、現在は天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。わかりやすく丁寧な診療を心がけ、地域医療に従事している。