からだ・美容
相次ぐ冠水被害、汚水に潜む「破傷風」とは 極度のけいれんで骨折も…医師が教える処置と対策
公開日: / 更新日:
破傷風は「過去の病気ではありません」 現在でも、年間80~110人程が発症
破傷風は過去の病気ではありません。ワクチンの導入と集中治療の進歩で報告患者数は大きく減少しましたが、現在でもなお、年間80~110人程度の規模で発症しており、亡くなる人もいます。退院してそのまま自宅へ戻れた人は6割弱で、体力や生活機能が落ちたまま療養が続く人も少なくありません。
日本で破傷風ワクチンの定期接種が始まったのは1968年です。それ以前に生まれた人は基礎免疫を持っていないことが多く、実際に破傷風を発症する人はこの世代に大きく偏っています。子どもの頃に受けた免疫も一生ものではなく、追加接種をしなければ年齢とともに弱まっていきます。破傷風は一度かかって治っても免疫がつきません。心当たりの傷があれば、必ず医師に伝えてください。なお、抗菌薬を飲んでも破傷風は防げません。必要なのは、傷をきちんと処置することと、ワクチン歴に応じた接種です。
繰り返しになりますが、大前提として、冠水の中を歩くのは「最後の手段」です。水が流れている、水位が上がっている、膝近くまである、夜間で足元が見えない、マンホールや側溝の位置が分からない、切れた電線がある……。こうした場合は歩いて突破せず、より高い場所への垂直避難や救助要請を優先してください。
どうしても冠水の中を移動する場合は、サンダルや裸足、水が入ると重くなり脱げたり足を取られたりしやすくなる長靴より、足に固定できるひも付きの運動靴を選びましょう。また、杖代わりになる棒などを使い、一歩先の段差、穴、側溝、障害物を確認しながら進むこと。切れた電線、倒れた電柱、水没した電気設備の近くには絶対に近づかず、すでに傷がある場合は、可能な範囲で防水性の被覆材で覆い、汚れた水との接触を避けましょう。
冠水路を出た後は、消毒より先に、皮膚についた泥や汚れをできるだけ早く清潔な水で洗い流します。消毒薬をかけるだけで済ませず、傷の周囲は石けんで洗うなど、物理的に汚れを洗い流すことが重要です。出血があれば清潔なガーゼなどで圧迫し、深く刺さった異物を無理に自分で抜くのは避け、医療機関で処置を受けましょう。
実は、実際に傷を負いやすいのは、冠水した道路よりも水が引いた後の泥出しや家財の運び出しです。割れたガラス、釘の出た木材、金属片が泥の中に埋もれていて、見た目には判断ができません。受傷後数日~数週間して、口が開きにくい、飲み込みにくい、首や背中がこわばる、痛みを伴う筋けいれんが出る場合は、破傷風を疑う緊急症状です。少しでもけがをしたり、気になる症状があった場合には、なるべく早く専門の医療機関を受診するようにしてください。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)