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「そりゃあ、部屋に閉じこもりたくもなるよ」 深川栄洋監督が訴える孤立させない支援

公開日:  /  更新日:

著者:西田 梨紗

格差や構造的な不条理で満ちている社会

 深川監督は日本の映像界を牽引する存在として、長年にわたり第一線で活躍しています。そんな監督も「こんな社会ならひきこもりたくもなる」と思うことはあるのか気になるところ……。そこで、深川監督にもひきこもりたくなることはあるか、思い切って聞いてみました。

「社会は一見すると、平等ですが、『格差や構造的な不条理で満ちている』ということをもっと早く知りたかったです。僕たちの時代は『みんな平等』と学校で教わりましたが、現実の社会には競争や搾取の構造が存在します。一度つまずいて不利益を被る側になると、そこから自力で抜け出すのは容易ではありません。誰かと常に比較され、劣等感を植え付けられ、未来に希望が見出せなくなったとき、自分を守るための防衛本能として『ひきこもる』という選択は、ごく自然で人間らしい反応だと思います。『そりゃあ、部屋に閉じこもりたくもなるよ』と、僕は強く共感します」

 ひきこもることを、本人だけの問題として捉えない深川監督。東京都が2023年実施した「ひきこもりへの認識に関する世論調査」でも、自身や家族が現在ひきこもりの状態ではない、または分からないと答えた人のうち、22.1%が、自身もひきこもりの状態になる可能性について「ある」「少しはある」と回答しています。

 深川監督の作品の中には人の弱さや社会の闇をとらえつつ、人のあたたかさも描いた作品が多くあります。今回の取材でも、“いたましい世界”の中で、他者に注ぐ愛情のこもった眼差しを感じられました。

映画『あなたの息子ひき出します!』 10月2日(金)より順次公開/製作・配給:スタンダードフィルム合同会社/(C)2026 スタンダードフィルム合同会社

(プロフィール)
深川栄洋(ふかがわ・よしひろ)
1976年、千葉県生まれ。映画監督・脚本家。2005年に「狼少女」で長編映画監督デビュー。「60歳のラブレター」「神様のカルテ」「法廷遊戯」などを手がける。最新作「あなたの息子ひき出します!」では、企画・脚本・監督を務めた。

(西田 梨紗)

西田 梨紗(にしだ・りさ)

アメリカ文学研究/ライター。アメリカ文学を研究する傍ら、映画・ドラマのレビューや、社会問題をテーマにした記事を執筆。近年は「推し活」や「おひとり様」といった社会現象にも関心を寄せている。猫が好きで、「猫が幸せになる記事を書くこと」をモットーに活動している。