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深川監督が本作をとくに届けたい人とは?

『あなたの息子ひき出します!』というタイトルから、ひきこもり状態にある人を家の外へ連れ出す物語を想像する人もいるかもしれません。しかし、深川監督が描きたかったのは、当事者や家族との別の関わり方でした。
「この映画は、ひきこもり状態にある人を家から強引に『ひき出す』物語ではありません。ひきこもり状態にある人たちの家を訪ね歩き、ひきこもり当事者や家族のために『お手伝い』をする主人公の物語です」
典子は、公的な支援機関に所属する専門家ではありません。幼い息子の颯太(小野光南翔)を連れて、当事者やその家族を訪ねます。相手に何が必要なのかを考えながら行動する典子ですが、彼女自身も悩みを抱えるひとりの人間として描かれています。
取材の最後に、深川監督に本作をとくに届けたい人について伺いました。
「『新しい価値観に触れてみたい』という思いがある人に、本作はマッチすると思います。また、『このままでいいのかな?』と人生に疑問を感じている人たちにも観ていただきたいと思っています。そして、映画館になかなか足を運べない人にも観ていただきたいです。こうした人たちにも本作が届くよう施策を考えています。とはいえ、気晴らしや楽しみ、あるいはわかりやすい娯楽に終始する作品ではありません。この点だけは少し覚悟のうえで、ぜひ楽しみに映画館へ足を運んでいただけたらと思います」
本作を観た人からは、「福祉のあり方について議論したくなる」「『正しさとは何か?』と考えさせられた」「誰かを理解することは難しいが、それでも理解しようとする尊さが問いかけられていた」といった感想が上がっています。
ひきこもり当事者やその家族だけではなく、不登校の子どもを持つ親、元受刑者などさまざまな立場の人が登場します。自分とは異なる境遇の人に、どう向き合うか。深川監督が「新しい価値観に触れてみたい」人にも観てほしいと語る理由が、そこに表れています。
『あなたの息子ひき出します!』 2026年10月2日(金)より順次公開。企画・脚本・監督:深川栄洋/製作・配給:スタンダードフィルム合同会社/(c)2026 スタンダードフィルム合同会社
1976年、千葉県生まれ。映画監督・脚本家。2005年に『狼少女』で長編映画監督デビュー。『60歳のラブレター』『神様のカルテ』『法廷遊戯』などを手がける。
(西田 梨紗)