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子どもが巣立った後に「夫アレルギー」に 30年近く連れ添った妻が決断した「熟年離婚」の末路とは…
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熟年離婚の一番の課題 一緒に積み上げてきた膨大な時間
離婚したい。そう思った時、通常の場合最もネックとなるのが「子ども」の存在かもしれません。夫婦ともに互いに不満があっても子どもの前でそれを溜め込み、子どもというかすがいが成長とともに失われた時に、離婚を決意することが多いのです。しかし熟年夫婦ともなると、離婚というのは一方の気持ちだけで行えるものではないようです。
「この2年、ずっと悩んできたのですが、今年で60歳になることだし、いっそ離婚した方がいいのでは? と思い、夫にその旨を告げたんです。すると夫も賛成の意向を示してくれました。今住んでいる家を私が受け取る代わりに、市価相当分の金額を夫に渡すことで決着。養育費などが必要ないので、揉めることなく話し合いは終わりました」
しかし……。
「それなのに、夫が家を出て行かないんです。お金があるのだから、会社の近くにアパートを借りればいいのでは? と思うのですが、本人は『部屋の中のものを片付けるまで待ってくれ』の一点張り。2週間ほど様子を見ていますが、部屋にいてもゴロンと横になってテレビを見ているだけで、片付けようとしていません。夫にしてみれば、タダで住めて、洗濯してもらえて、トイレやお風呂など自分で掃除しなくてもきれいになっている環境は捨てがたいんでしょうね」
離婚届を出し、今ではれっきとした赤の他人となっている瑛子さんとご主人。現状はルームシェアをしている状態になっています。離婚を期にご主人の分の洗濯をすることはやめたものの、台所やトイレ、風呂といった共有部分の掃除はせざるを得ず、嫌悪感でいっぱいの毎日を送らざるを得なくなってしまっている瑛子さん。
「失敗しました……。こんな状態なら、夫婦のままでいた方がまだ、主婦の義務だと思えた分マシだったのでは? と思ってしまいます。もうだいぶイライラが募ってきたので……近いうちにこの家を処分し、実家に帰ることも考えています。子どもたちからは実家を奪うことになってしまうのですが……」
熟年離婚は、それまでに積み上げてきたものが大きいため、書類1枚のことでも一筋縄ではいかない模様。これから20年、30年と我慢して生活するくらいなら、離婚を選択した方がストレスなく生きられるかもしれませんが――言い出す時期やご主人の生活能力を考慮し、タイミングを計ることも必要なのか。瑛子さんの話から、そう思い知らされたような気がしました。
(和栗 恵)