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「お母さんがいなくなっちゃった」 81歳母が行方不明 雨の山間部で捜索、家族が気づいた備えとは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

81歳の母が別荘近くで行方不明に(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
81歳の母が別荘近くで行方不明に(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 高齢の家族と離れて暮らしていると、思わぬ事故やトラブルが起きたとき、すぐに駆けつけることができない場合があります。筆者はこの秋、長野県の山間部にある別荘地で、81歳の母が突然、行方不明になるという出来事に直面しました。雨が降り続くなか、母はどこにいるのか。無事なのか――。3時間以上離れた場所にいた筆者が頼ったのは、母が持っていたスマートフォンでした。実体験を通じて感じた反省点や、家族で確認しておきたい備えについて紹介します。

 ◇ ◇ ◇

友人からかかってきた「母が行方不明」の電話

「大変、お母さんがいなくなっちゃった!」

 先月末の夜、母の友人から突然、電話がかかってきました。受話口から聞こえてきたのは、焦った声で繰り返されるその言葉でした。

 81歳の母はこの日、長野県の山麓にある別荘へ出かけていました。昼頃までは私と夫も一緒に滞在しており、本来ならそのまま母を車で実家まで送る予定でした。しかし、夕方に母の友人が遊びに来ることになったため、予定を変更。母を別荘に残し、私たちだけ先に帰宅したのです。

 ところが、夕方になって友人が別荘に到着すると、電気がついておらず、母の姿もありません。

 母はどこへ行ったのか。

 友人は別荘の管理事務所と警察、そして私に慌てて連絡。付近を捜してくれることになりました。

 母は普段から「夜道は怖いから」と言い、夕方以降に出歩くことはほとんどありません。もし自分の意思で外出したのなら、まだ明るいうちに別荘を出たはずです。

 しかも、その日は朝から雨が降り続いていました。山間部の道には落ち葉が積もり、それが雨に濡れて滑りやすくなっています。81歳の母がそこで足を滑らせていたら。転んで起き上がれなくなっていたら。

 私たちが別荘を出てから、すでに何時間も経っています。

 雨に打たれたまま、どこかで倒れているかもしれない。最悪の場合、もう――。

「死んでいるかもしれない」

 そこまで考えた瞬間、心がヒュッと冷え込みました。けれど、私はすぐに母を捜しに行くことができません。別荘までは、車で3時間以上かかります。

スマホを手がかりに探してみることに

 何か手がかりはないか。そこでふと思い出したのが、母が持っているスマートフォンです。

 母のスマホはiPhoneで、紛失した端末などの位置を確認できる「探す」という機能があります。夫に頼み、スマホの位置を確認してもらうと――。表示されたのは、別荘から約1キロ離れた場所でした。

「ここに倒れているんじゃない?」

 位置情報をすぐに母の友人へ送り、電話をかけました。ところが、つながりません。

 もう一度かけても、出ない。

 何度電話をしても応答がなく、その状態が1時間ほど続きました。

 母のスマホは別荘から約1キロ離れた場所にある。それなのに、母がそこにいるのかどうかすら、東京にいる私には確かめることができません。

 今すぐ車を走らせたい。しかし、どんなに急いでも3時間以上。朝から降り続く雨の中、焦って向かえば、今度は自分たちが事故に遭うかもしれません。

 どうすることもできず、別荘の管理事務所に電話をかけました。すると、思いがけない知らせが。

 少し前、別の別荘のオーナーが母を発見していました。母を敷地内にあるホテルまで車で運び、ホテルのスタッフが救急車を呼んでくれたというのです。母は低体温症の疑いがあり、すでに病院へ搬送されているところでした。

 生きていた。

ひとまず胸を撫で下ろしましたが、これで終わりではありませんでした。