からだ・美容
「生理は1日で出し切って」「ブラジャーなんか安物を」 なぜ知識がないのに断言できる? 医師が解説
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教えてくれた人:田中 奏多

「生理は1日で出し切って、あとの6日間は治療」「ブラジャーなんか安いものを買えば良い」。先日、X(ツイッター)でこうした趣旨の投稿が広まり、当事者の実感とかけ離れているとして物議を醸しました。なぜ人は、自分が経験したことのないことや、十分な知識がないことについても自信を持って断定してしまうのでしょうか。こうした“思い込み”が生まれる心理について、東京TMSクリニックの院長で、心療内科医の田中奏多先生に伺いました。
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知らないことほど「景色がすっきり見える」
よく知らないことほど言い切れてしまう背景には、知識が足りないことで「自分がわかっていない」ということ自体に気づきにくくなる認知の特徴があります。これは「ダニング=クルーガー効果」と呼ばれています。
どこが難しく、どんな例外があるのかを見通すには、ある程度の知識が必要です。
「だから知らない人は『自分が知らないことの一覧』を作れません。本人としては、むしろ景色がすっきり見えている感覚になります」
そこに加わるのが、自分に都合の良い情報ばかりが目に入る「確証バイアス」です。人はまず直感で答えを出し、理由をあとから探すことがあります。
「『根拠があるから信じる』のではなく『信じているから根拠が見えてくる』という順番になりがちなのです」
自分の体を「物差し」にしてしまう
では、経験したことのない体の問題を、自分の感覚だけで判断してしまうのはなぜなのでしょうか。
「人は自分の体を物差しにしています。痛みも出血も外からは見えないので、自分にない感覚はわからないままです」
さらに、人は今その状態にないとき、つらさを実際より軽く見積もることがあります。「共感ギャップ」と呼ばれる心理で、満腹のときに空腹の苦しさを思い出しにくいのと同じように、過去や未来の自分に対しても起こります。
生理や下着は、長く公の場で語られてこなかった領域でもあります。
「材料がないままイメージを膨らますと、極端な断定になってしまうのかもしれません」
他人の問題に対して「自分だったらこうする」「こうすれば良いだけ」と考えてしまうときも、実際にはお金や時間、体調、周囲との関係など、さまざまな条件が見えていない可能性があります。
「頭の中の想定は、いつも現実より単純です」と田中先生は言います。だからこそ、「自分には見えていない事情があるはずだ」と最初から前提にしておくことが大切です。
断定しやすさに男女差はある?
今回話題になったのは、生理やブラジャーなど、男性自身が経験することのない女性の体や生活にかかわる問題でした。十分な知識や経験がないことについて、自信を持って断定する傾向そのものに、男女差はあるのでしょうか。
「『男性だから断定的』と言えるほどの差ではありません」
自分の推定の正確さを過信する傾向について、金融行動や一般知識課題の研究では、男性のほうがやや高いという報告があります。ただし、その差は小さく、男女の分布は大きく重なっています。