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「これだけでいいの!?」 アメリカのお弁当は驚くほど簡単 日本人が目撃した衝撃のランチ事情とは

公開日:  /  更新日:

著者:斎藤 理子

日本式のお弁当には校長先生まで興味津々

ツナ缶ひとつの弁当に衝撃(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
ツナ缶ひとつの弁当に衝撃(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 私はアメリカ在住中、5年間くらい小学校の補助教員をやっていたのですが、そのときに見た子どものランチで一番衝撃的だったのは、ツナ缶ひとつがランチというものでした。

 マヨネーズも塩もなし。ランチタイムになったら紙袋からツナ缶を出してフタをパッカンと開けてスプーンでむしゃむしゃと食べておしまい。

 特別に経済的な事情があるようには見えない家庭の子どもだったのに、本当にそれだけ。親が寝坊したのか作りたくなかったのかはわかりませんが、これは私のお弁当というものに対する概念を根本的に揺るがす出来事でした。

 同じ学校に通っていた娘には、普通に日本スタイルのお弁当を持たせていたのですが、ランチタイムになると生徒はもとより先生たちもみんな見にきて、これはなんだとかあれはどんな味とか聞かれて大変だったようです。

 しまいには校長先生や教頭先生まで見にきて、結局バランスの良い“ベントー”を作る料理教室をやる羽目になりましたが、その学校が食育に少しでも興味があることに驚いたものです。

 昨晩の残り物とかでいいから何かタンパク質を一品と野菜を何種類か入れてみましょう、難しく考えず簡単でいいから、という話をした記憶があるのですが、「そんな面倒くさいことを朝にやるのは無理だわ」とか、「朝から火を使って料理するなんて」というのが大半のリアクションでした。結局そのときはお弁当革命が起こせず、ちょっと悔しい思いをしたのを思い出します。

 ちなみに、私より5年ほど早くアメリカで暮らし始めた日本人のママから、こんな話を聞いたことがあります。

 子どものお弁当におにぎりを持たせたところ、友達から「うわー、ベイビーズヘッド(赤ちゃんの頭)みたいで気持ち悪い」とからかわれたそうです。それ以来、二度とおにぎりを持たせなかったといいます。

 当時は、黒い海苔で包まれたおにぎりが、子どもたちにとって見慣れない食べ物だったのでしょう。今では欧米でもおにぎりが注目されるようになりましたが、そんな時代があったとは、なんだか信じられない話です。

日本のお弁当が世界に浸透しても、変わらないアメリカのランチ事情

 日本に旅行して、日本のお弁当に触れ、感動するアメリカ人も増えています。また、アメリカでも都会のカフェなどでは「Bento Box」のテイクアウトも増えたようです。

 でも、スクールランチに関しては、ほぼほぼ変化はなく、相変わらずサンドイッチとスナック菓子みたいな内容です。

 日本では給食の時間も食材や生産者、調理員のみなさんへの感謝を学ぶ授業の一環になっています。

 一方、私がアメリカの学校で経験したスクールランチは、食事を通じて何かを学ぶというより、昼食でとりあえずお腹を満たすための時間という印象が強いものでした。

 もちろん学校によって取り組みは異なるでしょうが、こうした食事に対する考え方の違いも、お弁当文化の違いにつながっているのではないかと思います。

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(斎藤 理子)

斎藤 理子(さいとう・りこ)

出版社で雑誌編集に携わったあと、イギリス・ロンドンなど海外に長年在住し、世界中をめぐって各地の食文化を体験。帰国後は日本国内外の食材生産者から、ミシュラン三つ星レストランや街角の立ち飲み店まで、幅広い食の現場を取材・執筆している。主な著作に「イギリスを食べつくす」(主婦の友社刊)、「隣人たちのブリティッシュスタイル」(NHK出版刊)がある。また、「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフによる連載記事を編集・監修した「田舎のリストランテ頑張る」(マガジンハウス刊)の編著者でもある。2011年には、イギリス政府観光庁よりメディアアワードを受賞。現在、やまがた特命観光・つや姫大使を務める。