仕事・人生
「パチンコ玉が飛んできたような勢い」 プロサッカー選手を襲った突然の事故 眼球摘出の危機でも諦めなかった夢
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自主トレーニング中に起きた事故で右目が失明
ところが2020年、新型コロナウイルスの感染拡大によって、ニュージーランドでもロックダウンが実施され、チームでの練習が中止になりました。松本さんはその期間を、個人スキルを磨くチャンスととらえ、自主トレーニングに励むようになったそうです。
そして同年5月、思いがけない事故が起こりました。トレーニング用のゴムチューブを壁に金具で固定してトレーニングを行っていると、金具が突然はずれ、右目を直撃。跳ね返ってきたゴムチューブは、左目に当たりました。

「パチンコ玉が飛んできたような勢いでした。激痛で身動きが取れませんでしたが、ほかの選手に助けを求め、病院へ搬送してもらいました」
搬送先の病院で、医師から告げられたのは、眼球の摘出の可能性でした。しかし、なんとか目を残したいと思った松本さんは、日本でセカンドオピニオンを受けると決断します。
「眼圧の関係で10日ほどは飛行機に乗れず、帰国できませんでした。ただ、日本の病院で検査を受けたところ、目を残せることになりました」
「自分なら絶対に復帰できる」 リハビリ中の強い信念
日本で手術を受けた松本さん。当時はコロナ禍だったため、術後の入院期間は3日間のみ。その後は、指定された隔離用ホテルで2週間療養しました。
「術後の2週間は24時間、うつ伏せの姿勢でいなければならなくて……。寝返りを打たないよう、ベッドに体を固定してもらったこともあります」

眼球の摘出は免れたものの、松本さんの右目は失明し、左目はぼんやりとしか見えない弱視(ロービジョン)になりました。プロサッカー選手にとって、周囲の状況やボールの動きを目でとらえることは欠かせません。
それでも、松本さんが考えていたのは、選手としての将来を諦めることではありませんでした。頭にあったのは、不安や落胆ではなく「12月に開催が決まっているFIFAクラブワールドカップにどう間に合わせるか」だけでした。
「周囲から『格闘技では、視力が悪いとコンタクトをはずし、ぼやけた状態で戦う選手もいる』と聞いたこともあって、少しでも左目が見えているのなら絶対に出場できると思えました」
困難に直面しても、目標の達成を諦めなかった松本さん。しかし、退院後に待ち受けていたのは、壮絶なリハビリの日々でした。後編では退院後の暮らしや、復帰を目指して取り組んだ挑戦などをお伝えします。
(古川 諭香)