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「もうやらない方がいい」 美容整形を繰り返す“整形沼” 経験20年以上の医師が語るリスクと限界

公開日:  /  更新日:

著者:柳田 通斉

「Nose Beauty Clinic」院長の後藤龍学医師【写真:増田美咲】
「Nose Beauty Clinic」院長の後藤龍学医師【写真:増田美咲】

 国内の美容医療市場が、空前の活況を呈しています。矢野経済研究所の調査によれば、市場規模は2019年の4070億円から、2025年には6440億円へと約1.6倍に急拡大しています。かつて美容整形は他言せずに受ける傾向でしたが、今は若者たちがYouTubeやSNSで術後経過(ダウンタイム)を公開。「自己プロデュースの一環」としてオープンに語る時代になりました。その一方で、消費者トラブルも増加しています。東京・南青山の「Nose Beauty Clinic」院長で、美容外科医として20年以上のキャリアを持つ、後藤龍学(ごとう・りょうがく)医師に、現場の“リアル”を聞きました。(取材・文=柳田通斉)

 ◇ ◇ ◇

「派手鼻」から「忘れ鼻」へ 変わりゆく美容整形のトレンド

――鼻整形を中心に5万件以上の執刀経験を持つ後藤先生。美容整形を希望する患者さんに対して、どのようなことを大切にしていますか。

「患者さまは『ここもあそこも直したい』と、ご自身の理想に向けてさまざまな手術を希望されます。しかし、言われるがままに手術を“足し算”していくことが、必ずしもその方にとってベストな結果になるとは限りません。患者さまが気にされている部分に対して、『顔全体のバランスを見たとき、本当にその手術は必要なのか』を見極め、ときには『それはやらなくていいんじゃないか』とお伝えします。不必要なものは省く。そうした“引き算”が、結果的に患者さまの満足度を高めることにつながると考えています」

――最近の鼻整形のトレンドはありますか。

「少し前までは、鼻筋が通ってしっかり主張する『派手鼻』が人気でしたが、最近は『忘れ鼻』がトレンドですね。正面から見たときは、整形しているとわかりにくく顔にすっとなじんでいる。けれど、横顔を見たときにはしっかりと高さがあり、美しいEラインが出ている。そういった自然な仕上がりが求められています」

――「理想の鼻」の写真を持って来られる方が多いのでは。

「最近は、韓国や中華系の女優さんの写真を持ってこられる方とかもいます。日本人ですと、かつては人気のタレントさんや女優さんの写真が多かったのですが、好きなインフルエンサーさんの写真が多くなっていますね」

――その理想通りの鼻になるものなのでしょうか。

「理想通りにはなります。『こういう風にしたい』というご希望のイメージを共有していただくのはとても大切です。基本的に手術中の仕上がりの確認において、理想通りの形になっていると満足いただけることがほとんどです。ただ、写真の鼻だけをそのままご自身の顔に持ってきた場合、顔全体のバランスや黄金比から見て違和感が出ることもあります。そういった場合は『あなたのベースだとここまではできる』『そのまま作ると不自然になる』と伝えます。良いことばかりではなく、リスクや現実もしっかりお話ししますし、難しい場合は、お断りすることもあります」