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「もうやらない方がいい」 美容整形を繰り返す“整形沼” 経験20年以上の医師が語るリスクと限界

公開日:  /  更新日:

著者:柳田 通斉

「もうやらないほうがいい」 美容整形を繰り返すリスクとは

手術中の後藤医師【写真提供:Nose Beauty Clinic】
手術中の後藤医師【写真提供:Nose Beauty Clinic】

――何度も整形を繰り返してしまう「整形沼」に陥らないためには、どうすれば良いでしょうか。

「同じ箇所の手術を繰り返す場合は、より慎重な判断が必要です。回数だけでなく、組織の状態や過去の手術内容を確認し、改善が見込めない場合には『もう手術をしないほうがいい』と正直にお伝えしています」

――美容整形市場の急拡大に比例し、消費者トラブルも増加しています。国民生活センターに寄せられた美容医療サービスに関する相談件数は、2023年度 6281件→ 2024年度1万744件、 2025年度 7944件です。「こんなはずじゃなかった」「不自然な傷跡が残ってしまった」。なぜ、一生を左右しかねない「顔」のトラブルがあとを絶たないのでしょうか。

「大きく分けて二つあると考えています。一つは『術後の治り方の個人差』です。傷が治る過程で硬くなったり、赤みが出たりと、結果にはさまざまな変数が影響します。事前のカウンセリングでそうしたリスクの説明が不足していると、術後のギャップからトラブルになりやすいです。

 もう一つは、医師の技量不足です。手術に慣れていない医師が担当したり、利益重視で回転率を上げるために適切ではない方法で手術を行ったりして、良くない結果を出し続けているケースも少なからず存在します」

――後悔しないクリニック選び・医師選びのヒントを教えてください。

「まずは、その医師の経歴と症例写真をしっかり確認することです。美容外科は結果がすべてです。これが一つの判断材料になります。極端に安い広告(モニター価格など)には、経験の浅い医師の練習台になっているケースもあるため、注意が必要です。ご自身の顔、一生の価値に関わることですから、安さだけで選ぶことはお勧めしません。

 そして何より大切なのは、カウンセリングです。執刀する医師が直接、時間をかけて話を聞いてくれるか。良い点だけでなく、リスクや限界も正直に説明してくれるか。少しでもフィーリングが合わない、引っかかるなと感じたら、思い切って『やめる勇気』を持つことも重要です」

傷跡を目立たせない手術方法 仕上がりを患者自身が確認する取り組みも

術中確認を行う実際の様子【写真提供:Nose Beauty Clinic】
術中確認を行う実際の様子【写真提供:Nose Beauty Clinic】

――先生は鼻の穴の中から手術を行う「クローズド法」を得意とされているそうですね。

「はい。鼻柱(鼻の穴と穴の間)を切開する『オープン法』の方が、手術の視野が広く操作はしやすいのですが、どうしても外側に傷跡が残ってしまいます。クローズド法は鼻の穴の内側からアプローチします。適応がある場合には、鼻柱の外側に傷を作らない点が、患者さまにとって大きなメリットになると考えています。手術内容に応じて方法を選びます」

――1日の手術件数を「2件まで」に制限されていると聞きました。

「鼻筋から鼻先、小鼻まで全体を整える手術は、どうしても2時間以上かかります。それを1日に何件も行うと、精神的にも体力的にも限界がきてしまい、クオリティに影響が出る可能性があります。当院では『術中確認』というステップを設けているため、1件の時間を長めに確保しているという理由もあります」

――「術中確認」とは、どのようなことをするのですか。

「手術は静脈麻酔で眠った状態で行いますが、形がほぼ仕上がった段階で一度薬を止め、患者さまに目を覚ましていただきます。そして、鏡でご自身の鼻を実際に見てもらうんです。局所麻酔が効いているので痛みはほぼありません。『もう少しこうしたい』といったご希望があれば、そこから微調整を行います。シミュレーションなどの二次元の画像と、ご自身の三次元の顔では、どうしてもイメージにギャップが生まれがちです。術中に確認していただくことで、術後の『イメージと違った』という後悔を減らすことにつながると考えています」