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男性の育休は“義務化が必要” 犬山紙子さん 子どものためにも重要なことは「良好な夫婦関係」

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著者:Hint-Pot編集部・風間 久志

家事や育児もしっかりこなす夫の劔樹人さん【写真提供:扶桑社】
家事や育児もしっかりこなす夫の劔樹人さん【写真提供:扶桑社】

困ったら「助けて」のサインを 助けを求められる人や場所の“確保”も

 では、夫が朝早くから夜遅くまで仕事をしており、やむを得ず育児や家事に参加できない場合は、どうすればいいのだろうか。

「“ワンオペ育児”は、そもそも1人でこなせる量でないことが多いです。もし夫が仕事のために育児や家事ができないのであれば、例えば自分の飲み代をベビーシッター代にあてるとか、育児に関する行政のサービスを調べてみるとか、直接は手伝えなくても、他の部分を補い妻を助けることは可能。それだけでなく、妻を育児や家事から解放する時間を作ることへの“努力”は、忙しい夫であっても必要です」

 共働き家庭は増加の一途だが、まだまだ一般的になっていると言いがたいのが「男性の育児休暇取得」だ。妻を育児や家事から解放するためにも「男性が育休を取る」ことがより一般的になると良いのだが……。

「個人的に『男性の育休』は義務化が必要なくらいだと思っています。これだけ話題になっても現状6%(「平成30年度雇用均等基本調査」に基づく)程度ですから……。ただこれは、取りたくても取れない『圧』が職場にあるというのも理由にあります。周りの人たちの話を聞くと、結構育休を取りたいという人が多いんですよね。でも『上司が取らないので自分も取りにくい』とか『仕事が忙しい今、自分は休めない』とか。なかなか言い出せない人も多いと思うので、そこは社会が変わらなきゃいけないと思います」

 犬山さんは、2018年に社会的養護を必要とする子どもたちに対して、「虐待を防ぐためのサポート」や「いろいろな理由で親と暮らせない子どもたちを温かい家庭で生活できるようにする里親制度」などの支援を届けるプログラム「こどもギフト」を、クラウドファンディングを利用し立ち上げた。活動を通じて多くの夫婦や子どもと接する中で、子どもの幸せのためには良好な夫婦関係がとても大切だと、改めて感じたという。

「どちらかでも親が常に傷付いていたり、追い詰められていたりすると、そこから虐待に進んでしまうことがあります。『児童虐待』は、DV(家庭内暴力)やモラルハラスメントとも密接しています。問題を未然に解決するためにも、相手を追い詰めていないか、自分が追い詰められていないかに目を配ることが大切です」

 このような事態を回避するためにも、犬山さんは「助けて」のサインを出すことの大切さも訴える。

「精神的に孤立をしてしまうと『助けて』のサインがなかなか出せないんですよね。特に日本人は『人に迷惑をかけるな』と言われて育ってきているので『助けて』のサインが出せない。まずは簡単なことから人に頼る練習をしておくことが必要です。友人でも親でも行政でも何でもいいので、自分が困った時に助けを求められる人や場所を1つでも多く作っておいてほしいと思います。そして、自分が誰かにSOSを出された時は、1人で抱え込まず適切なところにつなげるようにしておきたいですね」

「育児」を通して夫婦に起こりうる問題を解決するには、やはり「コミュニケーション」が大切だという。互いの存在を認め、それぞれの形を一緒に作っていくのが、元々は他人である夫婦が円満に暮らすコツなのだろう。

(Hint-Pot編集部・風間 久志)