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からだ・美容

歯や口の中の健康維持は早めから意識を 噛む力を高める食品や食べ方とは 機能や働きを高めるうがいや体操も

公開日:  /  更新日:

著者:弓削 桃代

教えてくれた人:大手前短期大学 歯科衛生学科教授・木林美由紀先生

歯磨き以外でやるべきケア うがいや口腔体操が効果的

 食事以外でオーラルフレイルの予防になるものは何でしょうか。歯磨きは基本中の基本と言えますが、それ以外だと口腔内の機能や働きを高める体操や行動がおすすめだといいます。木林先生が推薦する体操がいくつかあるので、ここでご紹介。自分に合った体操を見つけて、毎日続けてみましょう。

○「ブクブクうがい」
 頬筋、口輪筋(口の周りの筋肉)、そして表情筋を鍛えられます。口の中では舌筋も鍛えられるので、いろんな効果を期待できるトレーニングです。普段何気なく行っていますが、いつもよりも少なめの水を口に含み、水が口から飛び出したりこぼれたりしないようにしてやってみましょう。

1、水を口に含んだら両頬を膨らませて10秒間ブクブク
2、右頬だけで10秒間ブクブクする
3、左頬だけで10秒間ブクブクする
4、両頬で10秒間ブクブクする
5、ブクブクうがいが終わったら、口の中の水を勢いよくプーと吐き出す

○「あいうべ体操」
 唇と舌の筋肉トレーニングに! 食塊形成(食べ物を口の中に入れ歯で噛み砕いて、のどを通りやすくなるようにやわらかいまとまりを作る)や飲みこみの向上につながります。

1、「あー」「いー」「うー」「べー」と大きな声を出して発音する
2、1を5回程度繰り返す

○「ぱびぷぺぽ体操」
 これは、口の周りのさまざまな筋肉のトレーニングになります。

1、目と口を大きく開けて「ぱ」と発音する
2、頬に力を入れて唇を横に「ぴ」と発音する
3、両頬を膨らませて「ぷ」と発音する
4、舌を思いっ切り前に出し、上に上げながら引っ込めて「ぺ」と発音する
5、唇をすぼめ、ひょっとこの口元をイメージして「ぽ」と発音する

○「パタカラ体操」
 口腔機能の働きを高め、食べた時の嚥下機能を向上させるトレーニングとなります(専門的な言葉で、オーラル・ディアドコキネシスといいます)。

1、唇をしっかり閉じて「パ」と発音する(食べこぼし予防につながる)
2、舌を上アゴにくっつけて「タ」と発音する(舌の筋肉で食べ物をのどまで動かすためのトレーニングに)
3、のどの奥を閉じて「カ」と発音する(誤嚥しないようにのどの奥を閉じるトレーニングに)
4、最後に舌を丸めて、舌先を上アゴの前歯の裏に付けて「ラ」と発音する(舌の筋肉を鍛える)

 自分がやりやすい体操を見つけ、1つでもいいので生活の中に取り入れて続けてみましょう。「よく噛んで食べよう」という意識を持って、「よく噛んで食べる」という行動を続けると咀嚼力が向上することが、木林先生の研究****で明らかになっています。毎日の食事の時に念頭に置いて、歯や口周りの健康を守っていきましょう。

参照:*木林美由紀:咀嚼力向上を目指した食育支援プログラムの効果に関する研究、口腔衛生会誌 J Dent Hlth 65: 10-16, 2015
**Kibayashi Miyuki:The Relationships among Child’s Ability of Mastication, Dietary Behavior, and Physical Fitness ,International Journal of Dental Hygiene Vol 9, Issue 2, start page 127 2011.
***木林美由紀:咀囀力と摂取野菜の種類および調理法との関連性、小児歯科学雑誌、53(2)289 2015.

(弓削 桃代)