Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

ライフスタイル

「こちら警察です」の電話に要注意 高齢の母があわや詐欺被害に 新型コロナでさらに凶暴化? アラフィフ娘の実録

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

家を出たところを襲われるなど強盗被害に遭う可能性も

 そして数時間後。再び母から電話があり「警察の方があなたと話したいって言うから、電話を代わるわね」とのこと。そのまま少し待っていると、「○○警察、××課の△△と申します。娘さんでいらっしゃいますね」と、若い声が印象的な女性警官が電話口に出たのです。

 今回の件は明らかに特殊詐欺の手口の1つであることを説明された後、「申し訳ありませんが、しばらくの間、ご実家で暮らすことはできませんか?」と、女性警官は言いました。

 たまたま仕事の都合で他県にいて、移動自粛制限がかかっているためすぐに実家には戻れないと答えると、女性警官はかなりの勢いで難色を示し「他に来ていただけそうな方はいらっしゃいませんか?」とのこと。

「なぜそんなことを言うのだろう?」「詐欺には引っかかっていないのに?」そう不思議に思っていると、どうやら相手が「警察」だと信じ込んでいた母は、何ともご丁寧に入金額はもちろん、父が入院していて1人暮らしであることも正直に教えてしまっていたと言うのです!

 結局、仕事の都合を付けた兄が母の元に行ってくれるということで決着しましたが、今回のことで、高齢者を持つ家族としてずいぶんと肝を冷やしました。

 その後、母は女性警官からコンコンと諭された様子。今回はたまたますぐに娘の私に電話をし、私が「詐欺では?」と指摘したことで事なきを得ました。しかし、こうして警察を装った電話の後に、金融機関を名乗る人が家を訪れ「通帳とキャッシュカードを新しくするから、手持ちの通帳とキャッシュカード、暗証番号を渡してください」と指示され、預金を全て引き出されてしまう特殊詐欺が横行しているといいます。

 また、金額を確認しようと慌ててATMまで行こうとして家を出たところを襲われキャッシュカードや通帳などを盗まれたり、ATMまで後をつけられて暗証番号を盗み見られ、その後キャッシュカードや通帳を強奪されるといった、強盗被害に遭う可能性もあるようです。

離れて暮らす高齢者が詐欺被害に遭わないために 徹底すべきこととは

 今後、このような悪質な詐欺被害を食い止めるためにも、高齢者の家族をお持ちの方は以下のようなことを約束し、徹底するといいでしょう。

・何か変わったことがあったら、すぐに家族に電話で報告をする
・相手が警察や金融機関の関係者を名乗ったとしても「家族に一度相談して、再度かけ直します」と伝えて電話を切る(可能であれば企業名・組織名、担当者のフルネーム、電話番号をきちんと聞く)
・知らない人からの電話で個人情報を聞かれても、絶対に答えない
・ATMに行く際は、通帳はカバンにしまい、キャッシュカードはポケットにしまう、というようにリスク分散をさせる
・自宅の鍵(玄関、勝手口)をより強固なものに取り換え、窓に防犯対策を行う

 ただし、これが怖いところなのですが、今回の「新型コロナ禍」により、犯罪を行う人たちもお金が入りにくくなっているといいます。そのため、今後、犯罪が悪質化・凶暴化する可能性があるというのです(ですから、対応してくださった女性警官も電話先でしつこく、家に帰ることができないか聞いてきたのだと思います)。

 母の住む市町村では同様の詐欺がすでに発生していたことで、現在は警察の方が巡回を強化してくださっています。ですが、私自身もできるだけ母と密に連絡を取り、サポートをする必要があると実感しています。

 今回、私の母が引っかかりそうになった特殊詐欺の手口は「キャッシュカード詐欺盗」と呼ばれています。この詐欺は平成30年から認知された手口で、同年の認知件数は1348件、令和元年には3773件と、増加の一途をたどっています。このようにまだまだ日本全国で周知されていないことが、詐欺被害を増加させる一因になっています。

 ちなみに、こうした犯罪は「認知する」ことが最大かつ最良の「防御策」になるといいます。私のこの経験を、ぜひご高齢の親族をお持ちの方に話してあげてください。そして、これ以上被害が出ないよう、ご自身ができることを行ってください。

 みんなで、被害を防いでいきましょう!

 特殊詐欺という悪質極まりない犯罪から、大切な誰かを守るために!

(和栗 恵)