料理・グルメ

農家の嫁直伝 初夏を楽しむ「グリンピース」 旬の今は香りや甘みが格別 新鮮なものを選ぶコツ

著者:こばやし なつみ

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初夏はさや付きの「グリンピース」の香りや甘みを楽しめる【写真:こばやしなつみ】
初夏はさや付きの「グリンピース」の香りや甘みを楽しめる【写真:こばやしなつみ】

 グリンピースといえば、料理に彩りを加える“脇役”のようなイメージがあるかもしれません。缶詰や冷凍のものになじみがありますが、今が旬のグリンピースは生で店頭に並ぶことが多いようです。「初夏の味。旬で新鮮なものは、湯通ししただけで甘みがあって本当においしい」と言うのは、東京の“バリキャリ”から5年前に茨城の兼業農家に嫁いだこばやしなつみさん。白い可憐な花から、青々としたさやが出てくる様子はうっとりするそうです。新鮮なものを選ぶコツなど、愛情たっぷりの野菜エッセイをお届けします。

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プチッと弾ける豆の皮の音、実の甘みを堪能したい初夏の味「グリンピース」

 日本では、4月頃から6月頃までに旬を迎える初夏の野菜の1つ「グリンピース」。中央アジアから中近東が原産地の、マメ科エンドウ属の野菜の1つです。今では欧米の料理でもスープやサラダに使われている、世界的にも愛されている身近な食材と言えます。

 一方で、以前の私にとってグリンピースと言えば、シュウマイの上にトッピングされていたり、ミックスベジタブル野菜の1つであったりする“下処理済み”なイメージが先行する野菜でした。しかし、さや付きの生の状態から料理した新鮮なグリンピースの香りや甘みは格別だということを、6年前に旬のグリンピースを出荷する福島の専門農家さんを訪ねた際に知りました。やかんで沸かした熱湯をかけて湯通ししただけのグリンピースの、何と甘いこと。口の中でプチッと皮が弾ける食感に、食べる手が止まらない! などといった感動は今でも忘れられません。そして当時の衝撃体験から、2年前よりグリンピースを畑で育て始めました。

マメ科エンドウ属の中身。豆の大きさが異なる【写真:こばやしなつみ】
マメ科エンドウ属の中身。豆の大きさが異なる【写真:こばやしなつみ】

奥深いマメ科エンドウ属の世界 さやごと食べるか豆だけ食べるか、成長過程で変化する食べ方

 グリンピースに限らず、マメ科の中でも同じエンドウ属の野菜たちは、ほぼ同時期に旬を迎えます。代表的なものを挙げると、日本ではエンドウ豆の若い葉や茎を食べるのが「豆苗」、さやの中の豆が小粒で薄いさやごと食べるのが「絹さや」、さやの中の豆がぷっくり膨れてかつ青々としたさやを肉厚な状態で丸ごと食べるのが「スナップエンドウ」です。そして、さやの中で豆を成長させてさやから豆だけを取り出して食べるのがグリンピースなのです。

 分類のややこしいマメ科の野菜たちですが、白や赤紫色に咲く花は非常に可憐で、蝶形花冠と呼ばれる形が特徴です。栽培を始めた初年にはその美しさ、独特な花の形に畑で1人小さな感動を覚えました。「絹さや」「スナップエンドウ」「グリンピース」の種まきの時期は実は前年の秋になるので、寒い冬を乗り越えたツルたちが一気に伸び、花が咲き出すと初夏の訪れを感じさせてくれます。そして、その花が枯れた中から青々とした顔を出すのが“さや”です。それがそれぞれのマメに成長していくのです。

 グリンピースは、未熟なエンドウ豆を食べることから別名「実エンドウ」とも言うそうです。つまり成熟が進んだものが、一般的に私たちが“エンドウ豆”と呼ぶものになり、うぐいす豆やみつ豆などに加工されているということです。成長過程に応じて、食べ方に変化を付けて楽しまれているマメ科の野菜の世界は、知れば知るほど奥深いです。