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農家の嫁がやっている「ちぢみホウレンソウ」のシンプルな食べ方 保存のコツ
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東京の“バリキャリ”女子から5年前に茨城の兼業農家に嫁いだこばやしなつみさんの野菜エッセイをお届けします。現在、年間40品種の野菜を育てる小さな農業に励むなっちゃん。この時期限定で味わいたい野菜のひとつが糖度と旨みがたっぷりの「ちぢみホウレンソウ」だといいます。前編ではその魅力を綴りました。根元の赤い色はポリフェノールで栄養たっぷり、根元に近いほど甘いので、上手に下ごしらえをするのがおいしく食べるコツのひとつ。後編はおいしい選び方や保存方法、レシピを紹介します。
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甘くておいしい根元は切り落とさずに 葉にハリのあるものを
【目利きポイント】
ちぢみ(寒締め)ホウレンソウは、通常のホウレンソウよりも、肉厚の葉や硬めで太い茎、そして束全体のボリューム感が特徴です。よって、葉・芯・根元のハリやみずみずしさを確認すると、より新鮮で美味しいものを選べると思います。なお、葉物は鮮度が落ちると、葉や茎にハリがなくなり、全体がしんなりしてきます。
1、葉や芯:ハリがあり、緑色のものを選びましょう(黄色っぽくなっていないもの)
2、根元:切り口がみずみずしく、根元の赤色が鮮やかだと新鮮です
ちなみに、ちぢみホウレンソウの中には、一部茎が割れていたり、折れているように見えたりするものがあるかもしれません。スッと綺麗に茎を伸ばす春のホウレンソウと比べると、見劣りするので、これに関しては、農業大学校時代に先生に疑問を投げかけたことがあります。すると、これは霜や寒さにあたるちぢみホウレンソウ特有の現象で、地面をはうようにして成長するため、茎の部分にのった水分や朝露が気温変化により凍ったり溶けたりすることを繰り返すことが影響しているのではといいます。
つまり、味には全く影響ない上にむしろ寒さにあたった分だけ美味しいんだと教えてもらいました。もしそんな箇所を見つけたら、それほどの寒さの下で甘みをたっぷり蓄えてくれたちぢみホウレンソウのたくましい姿を想像しながら食べてみると、また違った味わいになるかもしれません。
【保存方法と期間】
ちぢみホウレンソウは新聞紙かキッチンペーパーに包んで、ビニール袋に入れて野菜室で保管してください。約1週間の目安で食べ切りましょう。
【冷凍保存】
下茹でしたものをよく水気を切って冷凍しておくのもオススメです。なるべく平らに薄くしてジッパー付きの袋などにいれて冷凍すると、大抵の料理の具になってくれて便利です。みそ汁やスープの具、炒め物、卵料理、麺類の付け合わせなど。
【下茹で】
アクがあるため、普通のホウレンソウと同様に下茹でをします。ポイントは、根元になればなるほど、甘みが増して美味しいため、根を切り落とさずに食べるということです。ちぢみホウレンソウは、茎や根元が硬いですが、茹でればやわらかくなります。余すことなく食べましょう。
1、根元に5mm~1cmほど十字に切り込みを入れる。洗ったり茹でたりする過程で、根元の隙間に入り込んだ土や汚れを落ちやすくするため
2、水を張ったボウルの中で、根元から葉にかけて降り洗いをする
3、適量の塩を入れたお湯を沸騰させて、根元から鍋に入れ、葉も含めた全体を約2分茹でる。その間に、空いたボウルに水を張っておく
4、茹で上がったら、菜箸かトングで、水を張ったボウルにホウレンソウを入れて、よくさらす
5、ホウレンソウの根を揃えて、軽くしぼる。2~3株ずつに分けてしぼると、水切りもよく、カットもしやすい