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「カレー」の雑学 栄養士が教える“最強の付け合わせ”とは 脂肪吸収を抑え塩分を排出する効果も!
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暑くなってくると、何となく食べたくなるカレー。好みにもよりますが、付け合わせの1つに「らっきょう」があります。カレーライスに添えて食卓に登場することが多いですが、そもそもカレーとらっきょうの組み合わせは理に適っているのでしょうか。いつから一緒に食べられるようになったのかは諸説あるようですが、実は当たり前のように一緒に食べていたこの2つは「最強」とされる相性抜群の食べ合わせだったようです。「カレーにらっきょう」を、栄養士の池田由美さんが解説します。
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旬のらっきょう 古くから薬効が注目されるほどパワフルな食材
今が旬のらっきょう。古くから漢方薬にも用いられるなど「薬効」が注目されています。特徴としては、特有の匂いと辛味を持つアリシンと呼ばれる硫化アリルが含まれていること。このアリシンには、消化を促進する働きがあります。胃腸の負担を軽減し、代謝を高めて、疲労回復に。またフルクタンと言われる水溶性の食物繊維が豊富で、腸内の環境を整えたり、脂肪吸収を抑えたりすることが期待されています。
日本では、膨らんだ鱗茎(りんけい)の部分を甘酢漬けや塩漬けなどにして食べるのが一般的ですね。酢に漬けると、水溶性の栄養素が外に溶け出てしまい、消滅してしまうのではないかとの見方もありますが、すべての栄養がなくなってしまうわけではありません。酢に漬けることにより、疲労回復、食欲増進、血液サラサラなどの多くの効果が期待できます。
らっきょうがカレーに添えられるようになったのは、諸説あります。外国ではカレーにピクルスが添えられていたのが日本ではらっきょうになったとか、インドのチャツネを参考に有名ホテルがらっきょうを添えて提供するようになったなどです。ただ、カレーにらっきょうの漬け物というのは、ある意味、理に適った食べ方と言えるでしょう。
消化促進なども手助け 豚肉やシーフード具材も相性が良さそう
カレーに含まれる基本のスパイスとしては、次の4つが挙げられます。まずクミンには消化促進や抗酸化作用。パクチー粉末のコリアンダーには消化促進、デトックス作用、鎮静作用。秋ウコン粉末のターメリックには肝機能促進、消化促進、殺菌作用。そしてレッドペッパーには、血行促進、食欲増進、発汗作用があります。その他、お好みのスパイスを加えてオリジナルカレーを作ってみてはいかがでしょうか。
スパイスカレーではなく、一般的なカレールーは脂質が多いので、消化を促進し、また脂肪吸収の抑制効果を持つらっきょうと一緒に食べるのは胃腸の負担を減らす助けになります。またカレールーは塩分も多いため、カリウムの多いらっきょうは塩分の排出を促してくれます。
カレーといっても、さまざまな具材がありますね。「らっきょうの栄養」という観点で相性の良いカレーを挙げるとすれば、まずは不足すると疲労の原因になると言われる、糖質代謝に必要なビタミンB1が豊富な「豚肉カレー」が挙げられます。らっきょうに含まれるアリシンには、ビタミンB1の吸収を助ける働きがあります。また、コレステロ-ルや血圧を低下させ、疲労回復で有名なタウリンを多く含むイカやエビが入った「シーフードカレー」とも、らっきょうは相性が良いです。
しかし、いくら組み合わせが良いからといって、らっきょうを1日に何十粒も食べるのは塩分過多などになるリスクも。カレーとらっきょうは相性が良いですが、ほどほどにバランス良く食を楽しみたいです。特にこれから暑くなってくるので、バテ気味になる胃腸が元気になるような食事を心がけましょう。
(池田 由美)