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帰省自粛の夏 「入院中の母に一目でも会いたいだけ」 48歳女性の葛藤
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新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全国各地で相次ぐ「帰省を控える」動き。今年のお盆休み、どう過ごす? あるアンケート調査によると、子どもがいる家庭の9割近くが「今年のお盆休みは帰省しない」という結果も。実家に帰らないべき? 帰るべき? 入院中の実母を思い田舎に帰りたくても、未だためらい、葛藤している女性にお話を聞きました。
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兄や親戚から帰省を反対され悩む日々
田所めぐみさん(仮名、48歳)は、大学進学で上京して以来、就職してからもずっと東京で一人暮らしをしています。田舎には長兄家族や親族が住んでおり、老いた母親は実家そばの高齢者施設に入所しているといいます。
父親が亡くなり、ガックリと気落ちした母親の様子が急におかしくなったのは、今から5年ほど前のこと。検査を行った結果、軽い認知症とともに血液に少し異常があるとのことで、遺族年金やこれまでの貯えを利用し、病院が経営する老人介護施設に入りました。
これまで年に4、5回は、実家に戻り、お墓参りと母の見舞いを続けてきたというめぐみさん。しかし新型コロナウイルスの影響で、今年2月以降、帰れない状態が続いていました。もちろんめぐみさん自身が“外出自粛”していたこともありましたが、兄と一部の親戚から立て続けに「感染者が多い東京から来てもらっては困る」といった連絡を受けていたこともあったといいます。
実は、母親の施設入所をめぐって、めぐみさんはお兄さんと一部親戚と“不仲”になってしまったそうです。
「母が入所する際に、私も東京から出向いて付き添ったのですが、親戚から『結婚もせず、実の母親の介護もしないなんて何て娘だ』『地元に戻ってきて面倒を見ろ!』など罵声を浴びせられまして……。兄も『お前はいつも気楽でいいよな』などと親戚と一緒に私に嫌味じみたことを言ってきました。そもそも父が所有していた実家近くの広大な土地や資産は『母の面倒は俺が見る!』ということで、兄がすべて相続したんですけどね」
5月下旬に全国の非常事態宣言が解除されたことや、6月に入って東京でも休業要請などが緩和されたこともあり、めぐみさんは、たとえ兄や親戚に何と言われようとこの夏のお盆休みには帰省して、墓参りと母親の見舞いへ行く予定でいたそうです。
しかし東京では連日、感染者が増え続け、ついには「Go Toキャンペーン」から東京が除外。梅雨が明け「これは帰省している場合じゃないかも……」と感じていた時でした。ある朝、めぐみさんに1本の電話がかかってきました。それは兄の妻・義姉からでした。