インタビュー

【私の家族】人気作詞家・及川眠子 新恋人との関係を見極めるきっかけに驚き! 愛猫との不思議なご縁

著者:弓削 桃代

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サビオとの縁の深さを感じる、ちょっぴり不思議なエピソード

及川眠子さんと不思議な縁で結ばれている「サビオ」くん【写真提供:及川眠子】
及川眠子さんと不思議な縁で結ばれている「サビオ」くん【写真提供:及川眠子】

 猫って一種、霊的な部分があるみたい。元夫とうまくいかなくなって年老いたレンゲと残ったんですが、離婚して3か月後に、昔からの知り合いと付き合うことになったんです。今冷静に考えると何ら共通点のない、自分の中でも何でこの人と付き合ったんだろうって思うんだけど、その時はきっと何かにすがりたかったんですね。その人とは半年くらいの交際でした。

 付き合い始めて、彼が初めて家に来た時に、もちろん家にはレンゲがいるわけなんですが、いつもは人見知りで決して来客中に出てこないレンゲが彼の前に姿を現したんですね。「おじさんだあれ?」という感じで。次に来た時は自分から彼の元に近寄っていったりして。私は「珍しい!」と思っていました。だってあのレンゲですよ?(笑) シッターさんが触るまでに3年かかったのに(笑)。

 しばらくして夏になって、レンゲが体調を崩して亡くなりました。そしたらその後から、彼との関係がガタガタガタっと崩れてきてしまったんです。私の中で「何となく違うな」と思ってはいたんだけど、まだ迷いのある時期で、そんな中、新しい2匹の猫を家に招き入れることになりました。

 猫がやってきたその夜に彼が来たんですが、彼が急に「猫アレルギーかも」って言い出して。今までレンゲと仲良くしていたんだからそんなはずはないって思っていたんですけど、どうにも身体がかゆいっていうし。

 結果的に、彼から別れたいと言われて、別れることになったんです。お別れを言うために最後に家に来た時も、サビオとワビイが近付くとかゆくてたまらなかったみたいで、猫たちが「もううちに来るな」って言っているみたいでしたね(笑)。

 その後、仕事関係の人にこの彼と猫の話をしたら「きっと彼はあなたの絆創膏だったんだよ。旦那さんに受けた傷を癒すための絆創膏で、及川さんは元気になったからもう絆創膏はいらないって、自分から去っていったんだよ」って言われたんです。

 それで何となく腑に落ちて家帰ってきた時に、ふと「あ、そういえばサビオって絆創膏の商品名じゃん」って思ったんです(笑)。すごいですよね、サビオという名前は先に決めてあったから、何だかとっても縁を感じたんですよね。

 サビオに関してはまだその後のお話があって、トイレを覚えたはずなのに、ソファにある同じクッションの上でトイレをするようになって。なぜかそのクッションでだけするんです。何度もそのクッションでするから、仕方ないから捨てたんですけど、そのクッション、前の彼がよく使っていたものだったんです。クッションを捨てたらちゃんとトイレでするようになって(笑)。

 サビオは本当に不思議で、他にも守ってくれているみたいだなと感じることがありました。でもね、ワビイのエピソードはないんです、おまけで付いてきたからかな(笑)。

猫って謎めいている… でも何も考えていない(笑) だから魅力的

念願の猫詩写真集「猫から目線」について語る人気作詞家・及川眠子さん【写真:Hint-Pot編集部】
念願の猫詩写真集「猫から目線」について語る人気作詞家・及川眠子さん【写真:Hint-Pot編集部】

 こうして長年、猫と住んでいますが、今回の「猫から目線」もずいぶん前からやりたかったことの1つです。掲載している詩は、半分くらい書き溜めていたもので、残りは書き下ろしたものです。写真を見て詩を書いたと思われがちなのですが、写真と詩は別々にありました。

 写真を見て詩を書いたり、詩を見て写真を撮ったりすると、それは“説明”になってしまう。避けるために、あえて詩と写真は別で進行しました。沖さんの写真は今回初めて知ったんですが、集めくださった資料の中でずば抜けてよかった。地域猫をかわいいというポイントで撮っておらず、どこか間抜けなんです。

 私の中では「猫から目線」は、新しい角度の哲学書を作っていったという感覚があるんですね。というのも、漫画家のやまだ紫さんが描かれた「性悪猫」、そして大島弓子さんが描かれた「綿の国星」から着想を得た部分があります。今は猫が出てくる漫画ってたくさんあると思いますが、私の世代だとこの2作品が圧倒的でした。

「性悪猫」は、猫が人間に対して文句を言うなど、哲学的な内容。こういうことを詩でやれないかなという長年の思いがあったのです。かたや「綿の国星」では、猫の世界がとっても美しく描かれています。この2作品にはとても影響されました。

「猫から目線」の詩は、私がただ書いていると何だか上から目線になってしまうし、人間が人間に対して文句を言うと腹が立ってしまうと思うんだけど、猫に言われていると「しょうがないな」っていう気分になる。言ってしまえば、私は猫の口を借りているだけ、なんですよね。猫って謎めいているから、猫にこう言われたいと思っている人が多いのかな。その実、猫は何も考えていないのにね(笑)。

◇及川眠子(おいかわ・ねこ)
1960年2月10日生まれ、和歌山県出身。1985年三菱ミニカ・マスコットソング・コンテスト最優秀賞作品、和田加奈子「パッシング・スルー」でデビュー。Wink「淋しい熱帯魚」(1989年度日本レコード大賞受賞)、新世紀エヴァンゲリオン主題歌「残酷な天使のテーゼ」(2011年JASRAC賞金賞受賞)などヒット曲多数。著書には「破婚~18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年間」(新潮社)、「誰かが私をきらいでも」「猫から目線」(ともにKKベストセラーズ)などがある。

(弓削 桃代)