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「何であいつだけ!」―実録・コロナ禍が生んだ闇 “ロックダウンジェラシー”が止められない人々

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

オンライン会議で嫉妬!? 理想の部屋を前に仕事にも身が入らなくなった3児の父

「絵に描いたような幸せを手に入れてきたはずだったのに……」

 同じく関東在住の拓也さん(仮名・41歳)は、会社の同僚を妬む気持ちが止められず、仕事にも影響が出ているといいます。

 発端は、週3回のテレワーク。オンライン通話の際に画面上に映った、同僚男性の生活に、驚きが隠せませんでした。

「チラリと映った同僚の部屋がね。とにかくきれいで、僕の理想のインテリアだったんです。比べることじゃないんだろうけど、我が家は子どもたちのおもちゃや洋服が散らばり、足の踏み場もないほど」

 独身時代からおしゃれが大好きだったという拓也さんは、結婚時にも家具にこだわり、周囲から憧れられるようなライフスタイルを夢見てきました。しかし、男女合わせて3人の子どもたちに恵まれた拓也さんご夫婦。とても喜ばしいことですが、年々、理想の生活からは遠く離れていったと振り返ります。

 いつしかこだわりのダイニングテーブルや壁紙も、幼い子どもたちによる傷や落書きで見るも無残な状態に。同僚の部屋を見るまでは、これも成長の証だと誇らしく感じていましたが、“理想の部屋”を一目見た時からどうしても「何で……」という気持ちが止められなくなってしまったそう。

「オンライン会議を重ねるごとに、部署内でも同僚の家が話題になっていきました。すると気が付いたら、雑誌にでも出てきそうなほどおしゃれな同僚の部屋に、自分が住んでいるところを想像していて……。仕事に身が入らなくなってしまいました」

 子どもがいるのに理想の暮らしをしている同僚に引き換え、自分の家は……と、会議の度にゲンナリしてしまうという拓也さん。先日は、同僚宅のテーブルの上にきれいな花が飾られていたのを見て「ああ、何か、生きているレベルすら違うんだ」とガックリしてしまったそう。

「子どもたちもかわいいですし、忙しい中、率先して掃除をしてくれる妻にもとても感謝しています。でも、どうしても同僚の家と比較することがやめられないんです」

 男女の性差にかかわらず、自粛による閉鎖的な暮らしが、ロックダウンジェラシーを引き起こしているようです。

 他人と自分を比較せず、嫉妬せずに生きるのは、通常の世にあっても難しいことかもしれませんが……コロナ禍に負けないためにも、今は少しだけ、自分自身を強く保つよう心がけるべきかもしれません。

(和栗 恵)