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どうぶつ

半身不随で瀕死…安楽死を勧められた元保護ねこ 諦めなかった飼い主の思い

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

悪化し続ける傷 セカンドオピニオンでつなぎ止めた命

 保護後、すぐに動物病院に連れていくと、背中に2つの傷があることが判明。また、下半身がマヒしていることも分かりました。

「まさか保護した時は、下半身がマヒしているとは思ってもみませんでした。確かに動かずおとなしかったのですが、怖くて動けないのだと……。しかし絶対に助けたい気持ちでいっぱいだったので、私にとっては保護を迷うに値するような大きな問題ではありませんでした」

 ハチくんは治療のため抗生剤と塗り薬を処方され、毎日通院して洗浄をすることに。しかしなぜかハチくんの傷は、手当の甲斐なく悪化の一途をたどります。次第に四六時中、大量の膿が傷から流れ出ている状態になっていきました。

 飼い主さんは日に日に弱々しくなっていくハチくんを見て、わらにもすがる思いで他の病院を訪ねることに。すると、傷はカラスによるもので、細長いくちばしが皮膚を貫通したことで細菌が奥に入り込み、膿が溜まってしまっていることが分かりました。さらに、すぐに手術をしなければ死んでしまうかもしれない一方、手術をしても助からない可能性があるので、ハチくんが苦しまないためにも安楽死をした方が良いと告げられたのです。

「まさか安楽死という選択を迫られるとは思っていなかったので、頭が真っ白になり病院で涙が止まらなくなったことを思い出します。何よりもハチが死んでしまうのが一番怖く、安楽死という選択は今の今まで考えたことはありません」

 治療を続ける以外、選択肢のなかった飼い主さん。しかし、ハチくんはまだ生後ほんの数か月。全身麻酔に耐えられるのかすらも分かりません。

 とにかくできることはすべてやろうと、本当にこの治療法がベストなのか、手術当日の朝まで複数の動物病院に電話をかけ、意見を聞いたといいます。そして、やはりこれが今できる最善策であると信じ、手術に臨むこととなりました。

 手術は無事に成功。しばらくは廃液を出すため、それまでもやってきた消毒を術後も毎日続ける必要がありましたが、次第に傷はふさがり、3か月後には自然と毛も生え揃ってきました。

「とにかく生きてほしいの一心でした。少しでもいつもと違うことはないか、どこか悪いところはないか、あの頃は夜も眠れず常に不安な日々でした」

マヒによる排泄障害も… 下半身マヒのねことの暮らしで気を付けていること

 こうして飼い主さんの献身的な看護もあり、何とか傷は癒えたハチくん。ところが、下半身のマヒについては、腰の骨が折れていますが大切な神経がたくさん通っていることもあり、自然治癒を見守ることに。

 マヒが原因でハチくんには排泄障害があるため、今でも毎日必ず人の手で排泄させてあげなければいけません。必ず24時間以内に1回は排泄をさせないと死んでしまうため、「プレッシャーはあります」と飼い主さんは話しますが、それでも大変と思ったことはないのだとか。

 また、ハチくんと暮らすうえで気を付けていることは他にも。

「一番は段差をなくすことです。部屋もかなり改造しましたね。下半身マヒだからといってじっとしているわけではなく、ハチは上半身を目一杯使って走って暴れ回るので。あちこちぶつけないように気を付けています」

 最近では、マヒしている足にも力が入るようになり、少しだけですが動かせるように。飼い主さんが手で押してあげて押し返す、というリハビリも行っているそう。

 たくさんのトラブルに見舞われ、一時は死の危険すらあったハチくんですが、今日もたくましくおうちの中を動き回っています。

(Hint-Pot編集部)