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生活習慣病になると100万円以上損!? ファイナンシャルプランナーに聞いた老後の「健康とお金」問題

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

生活習慣病にかかった場合、健康な人と比べ、かかるコストの違いは1000万円以上にも

 ファイナンシャルプランナーの森文子さんが試算したところによると、健康的な人と生活習慣病を患っている人とでは、将来的に必要とするお金が大きく変わってくるといいます。これは、決して見逃すことができない事実です。

 生活習慣病を放っておくと、がんや心臓疾患などより重篤な病に発展する場合もあり、生活習慣病にならないよう暮らすことは、将来的に「安く」老後を過ごすための絶対条件ともなるのです。

 ここで、日本人がかかる生活習慣病の中でも受診率が高いとされる「高血圧症」「糖尿病」について考えてみましょう。

●60歳で「高血圧症」と診断され、74歳まで通院で治療を続けた場合
→総医療費は360.2万円
●60歳で「糖尿病」と診断され、74歳まで通院で治療を続けた場合
→総医療費は401.6万円
※『平成30年度 生活習慣関連疾患医療費に関する調査』より算出(https://www.kenporen.com/toukei_data/pdf/chosa_r02_07_04.pdf)

 森さんの試算によれば、生活習慣病の治療のために14年間で300万円以上の総医療費がかかることが判明!

 健康保険に加入していれば、実際の自己負担額はそのうち3割~2割となりますが、それでも100万円前後、支払わなければいけないことが分かります。

 また、これはあくまでも60~74歳まで通院のみの費用で、なおかつ、心疾患や脳血管疾患などといった他の疾病を併発しなかったというパターンでのこと。74歳以上でも治療を続けたり、入院をしたり、ましてや通院の際の往復交通費のことを考えると、負担は大きくなるはずです。

 
 さらに、女性に多い生活習慣病「骨粗しょう症」について試算していただきました。骨粗しょう症によりもろくなった骨は折れやすいため、転倒などによる骨折や、そこから要介護となった場合は、高血圧症や糖尿病以上にお金がかかることが分かりました。

●60歳で「大腿骨頸部骨折手術入院」と「87歳まで介護」が必要になった場合
→総医療費は6936万円(自己負担額は1330.6万円)
※日本老年医学会雑誌「日本における大腿骨頸部骨折の医療経済」39巻5号を参考(https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics1964/39/5/39_5_483/_pdf/-char/ja)

 もちろん日本には、「高額療養費制度」がありますが、家族による見舞いにかかる費用や着替え、洗濯、食費、その他を考えると、負担はとても大きくなります。

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 怪我や病気など、思いがけずして健康を害してしまうことは誰にでも起こり得ること。しかし「生活習慣病」は、生活そのものを改善することで、予防できる可能性が高くなります。

 健康保険組合連合会が令和2年7月に報告した「平成30年度生活習慣関連疾病医療費に関する調査※」によると、生活習慣病にかかりやすい年齢は「55~59歳」が最も多く、次いで「60~64歳」「50~54歳」とのこと。不安のない未来を手に入れるためにも、食事や運動など生活習慣の改善に早めに取り組むことで、生活習慣病の予防に努めたいものです。

 そして同時に自分自身が健康であるかどうかを知り、病が重篤化する前に早期発見することも必要になるのです。

※健康保険組合連合会「平成30年度生活習慣関連疾病医療費に関する調査」(令和2年7月)を参考(https://www.kenporen.com/toukei_data/pdf/chosa_r02_07_04.pdf)