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美馬アンナさん 先天性欠損症の長男に「義手は必要?」 パラ競泳・一ノ瀬メイ選手の答えとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

英語が話せる利点とは…「腕が短いっていうだけで人より選択肢が少ない場面もある」

メイ:親御さんも両手がある状況しか体験したことがないから、想像できないですよね。でも、私の経験から言うと、腕が一本短いくらいでも、正直そんなに不自由はない。男の子だったら髪の毛をくくることもないし、ボタンを掛けるのも片手で十分。本当にできなかったことは、お手玉とあやとり(笑)。それくらいやから、そんな不自由はしないと思います。

 これからの時代、どれだけ義手が発達してつけるのが当たり前になるのか、私には予測できないから何とも言えません。けれど、私の周りには日常的に義手を使っている人は1人しかいませんね。その1人は、パラ陸上の重本沙絵ちゃんで、筋電義手を練習し始めたってインスタで見ました。でも、腕が短いことが不十分だと思っているわけじゃなくて、自分の可能性を広げるチャレンジをしたいって。26歳からでも始められるものだから、本人がつけたいっていう時に始めても遅くないんじゃないかなって思いますね。

アンナ:その言葉をいただいて、悩みが晴れました! インスタでも義手をつけている子を多く見るんだけど、私が思い描いている育児とはちょっと違うかなって思っていたんですよね。

メイ:自分が思い描いている育児が正解やと思う。もし本人が「僕もほしい」って言ったら作ってあげればいいと思うし、つけてみて本人が面倒臭いと感じたら「あ、いらないのね」でいいんじゃないかなって。

アンナ:本当にそうですね。もう1つ、メイちゃんは英語を話して育つ環境にあったわけですけど、大きくなってから英語が話せて良かったと思いますか?

メイ:それはいっぱいありますね。私の場合、父がイギリス人で日本語が話せなかったし、9歳の頃にイギリスで1年住んだ時は、読み書きもできなかったのに普通に公立の学校へ放り込まれて(笑)、必死で勉強しました。でも、その後は試合で海外に行っても不自由しなかったし、逆にチームのみんなを助けることもできた。そういう経験もあるし、英語が話せることで可能性も広がると思いますね。

 水泳の強化拠点を探している時に、オーストラリアではオリンピック選手もパラリンピック選手も一緒に練習している様子を見て、自分もここでやりたいと思って拠点を移しました。もし英語ができなかったら、拠点を移すハードルはもっと高くなっていたかもしれない。腕が短いというだけで、これから人より選択肢が少ない場面もあると思うんです。そういう時、英語が話せれば、日本だけじゃなくて海外も選択肢に入れられるのはいいのかなって。

アンナ:なるほど。メイちゃんが言うように、選択肢が増えますよね。インターナショナルスクールや英会話スクールに行った方がいいのか。まだ1歳なんだけど、幼稚園のことも今から考え始めないといけなくて……。

メイ:子育ってって大変(笑)。

発信する際のポイントは「飾らない普通の姿を見せること」

――一ノ瀬選手からアンナさんに聞いてみたいことはありますか。

メイ:アンちゃんは芸能のお仕事もしているから、発信するという意味ではプロだと思うんです。私ももっと人の役に立つことを伝えていきたいなって思うんだけど、みんなはどのようなものを必要としているのか、発信方法は何がいいのか、そこが難しくて。「腕が短いことは自分にとっては当たり前」って書いただけで、すごく反響をもらったことがあったんですけど、自分にとっては当たり前すぎて、わざわざ言葉にすることでもないと思っていたから、ちょっとビックリしたんです。どんな言葉が人を救うのかについては、すごく興味がありますね。

アンナ:私が今、心掛けているのは、きれいごとを書かないこと。もちろん、人が読むので言葉を選ぶし考えたりするけど、自分が心惹かれる発信もナチュラルでありのままなものが多いんですよね。きれいごとを書いてもボロが出るし、見抜かれちゃう。だから、飾らない普通の姿を見せることがいいのかなって思いますね。

 あとは髪の毛をくくったり靴紐を結ぶ動画に反響があったように、メイちゃんの手でできることを見せるのはいいかも。「腕がないと、これはできないでしょ」って思っていた人が「すごい、できる、格好いい!」って思うきっかけになるかなって。メイちゃんは発信力があるから、自分と同じ境遇にいる人の気持ちを代弁するのもいいと思いますね。発信したくてもなかなかできない人もいるし、この発信力はメイちゃんが持つ才能だからどんどん使っていってほしいですね。

メイ:なんか元気が出てきた!(笑)。

アンナ:私も元気出まくりです!(笑)。

メイ:今日の対談をきっかけに、一緒に発信していきましょう!

アンナ:一緒に希望を繋いでいきましょうね。

<終わり>

(Hint-Pot編集部・佐藤 直子)