インタビュー

ロッテ美馬投手の妻アンナさん 先天性欠損症の我が子に気付かされた「これもできる、あれもできる」

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

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美馬アンナさん【写真提供:美馬アンナ】
美馬アンナさん【写真提供:美馬アンナ】

アンナさんが明かす第1子への思い 右手首から先がない愛息との気付きにあふれる毎日

 先天性欠損症により右手首から先がない1歳の男の子「ミニっち」は、千葉ロッテマリーンズで活躍する美馬学(みま・まなぶ)投手と、女優やタレントとして活動するアンナさん夫婦が授かった大切な宝物です。出産するまで、我が子が障がいを持つとは知らなかったアンナさんは当初、驚き、不安、悲しみ、喜び、さまざまな感情に振り回される日々を過ごしていました。ミニっち誕生から1年経った今でも、もちろん不安になることはあります。

 でも、産院の院長先生からもらった1冊の本をきっかけに「障がいがあるから、これができない。あれもできない」という考え方から、「障がいがあっても、これもできる、あれもできる」という考え方に変わったといいます。プロ野球選手の旦那さんも「この子じゃないとダメだったんだよ、俺たちは」と、夫婦の元に生まれてきたミニっちを、アンナさんとともに深い愛情で包んでいます。

 障がいを持つことは恥ずかしいことじゃない。ミニっちがありのままの自分を受け入れ、のびのびと育つためにも隠すのはやめよう。そう決めたアンナさんは、自身のインスタグラムでミニっちの障がいを明かしました。笑顔のかわいい元気なミニっちと夫婦の成長記を、飾らない言葉で包み隠さず伝えています。

 障がいをもつ子どもの親となったことで、これまで得ることのなかった気付きにあふれる毎日を過ごすというアンナさん。今、どんな想いを抱きながら子育てに奮闘する日々を送っているのか、お聞きしました。

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与えられた右手を使いながら、可能性を広げていくミニっち

 アンナさんのインスタグラムには、すくすくと元気に育っていくミニっちの姿があふれています。初めはご夫婦の両手の中に包まれるように収まっていた小さな赤ちゃんが、1人で寝転がるようになったかと思えば、うれしそうに椅子に座ってみたり、掴まり立ちをしてみたり。また、床の上にチョコンと座るミニっちが、左手で野球ボールを掴んだり、右手で転がしたりして遊ぶ姿も。

 投稿には「ミニっちもいろんなことができるようになり、自分の右手でできること、できないことの区別などもつくようになってきたようです」「大人が持っても硬くて重い、と思うボールを片手でヒョイっと持ち上げます」といった“ミニ報告”も添えられています。

 当初は、右手がないと「これができない」「あれもできない」と考えていたアンナさん。でも、目の前でミニっちがいろいろな工夫をしながら、できることを1つずつ増やしていく姿に、日々新たな発見と感動があるといいます。

「もうすでに右手で掴めるものと掴めないものが分かっているんですよ。棒状のものを渡すと、右手では掴めないから自然と左手が出る。でも、右手で手繰り寄せることはできるので、そういう時は右手を使ったり。

 たまに、すごく何かを右手でやってみたい衝動に駆られる時があるみたいで、いつもだったらボールを置いたら必ず左手で掴むのに、左手は出さないで延々と右手で掴もうとして『あれ、何で掴めないの? でも、転がすことはできるぞ』みたいなことを、彼なりに一生懸命考えているんですね。それをジーッと見ていると、すごく面白くて。彼なりにいろいろ工夫するんです」

 右手があることが当たり前になっている人たちから見れば、右手で物を掴めないミニっちの姿は「かわいそう」と映るかもしれません。でも、ミニっちは自分が与えられた右手を使いながら、できることを増やし、可能性を広げています。右手がある人の物差しでは測り切れない価値観が、そこにはあるようです。

「ミニっちの右手は手首から少し先まであるので、少し曲げたり挟んだりできるんですね。だから、そこをうまく使って何かを手繰り寄せたり、自分の頭をポリポリかいていたりする様子を見ると、その一生懸命な姿に勇気をもらえるし、すごく愛おしくなります。右手だけでは掴まり立ちはできないのでフラフラッとするんですけど、何かで右手を支えながら、転ばないように一生懸命耐えるんですね。

 よく子育てをしていると『何でできないの?』ってイライラするという話を聞きますが、私たちはできないことが多いと思っているから、『え、できたの?』『これもできるの?』っていう喜びの方が大きいんです。だけど、時々不安になったり、切なくなったり。毎日、気持ちが忙しいですね(笑)」