料理・グルメ

米在住“醸せ師”が語る菌の話 発酵食品で摂る生きた菌・死んだ菌はどちらにも重要な役割が

著者:小田島 勢子

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おにぎりとぬか漬け、お漬け物、根野菜のおかず。熱いおみそ汁とともに【写真:小田島勢子】
おにぎりとぬか漬け、お漬け物、根野菜のおかず。熱いおみそ汁とともに【写真:小田島勢子】

 米ロサンゼルスの片田舎で夫と娘3人、鶏、豚、犬たちとともに、自然に囲まれた生活を送る小田島勢子さん。発酵食品作りの講師をはじめ、創作料理のケータリング、プロアスリートの身体作りのアドバイザーなど多分野で活躍しています。今回は、醸せ師(かもせし)として発酵食品の魅力を日々世界に発信している勢子さんが、私たちの身体を健やかに保つために役立つ菌の基礎知識をお伝えします。

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変化し続ける生活環境 自然の変化にも目を向けていきたい

ロサンゼルスに降り注いだ大粒の雹。子どもたちや豚のスイも大はしゃぎ!【写真:小田島勢子】
ロサンゼルスに降り注いだ大粒の雹。子どもたちや豚のスイも大はしゃぎ!【写真:小田島勢子】

 2021年、今年も新たな年が始まりました。新年のご挨拶を申し上げます。

 ここロサンゼルスは先日嵐となり、大粒の雹が降りました。辺り一面、氷に包まれた景色をロサンゼルスで見かけることはめったになく、子どもたちは大はしゃぎ。豚の「スイ」は大好きな氷が空から降ってきたので大喜びで口いっぱいに頬張っていました。

 この嵐で空気は澄み渡り、遠くの山々の稜線がきれいに見えた時、コロナの影響でロックダウンが初めて発令され、昨年春先の同じ光景を思い出しました。外出規制が一番厳しかったあの頃は工場も会社も、学校や国さえも閉鎖され、渋滞だらけだったロサンゼルスの道路からは車が消え、空からは飛行機が姿を消しました。

 先のことが見えずに不安になる人間を尻目に、植物も野生の動物も、自然そのものが生き生きと空気も澄んでいたあの頃。

 あれから約1年が経つ中で、いつの間にか私たちは渋滞が当たり前の日常に戻り、空が灰色にくすんでいることに気が付く余裕もなくなっています。あの空の青さを忘れてしまう自分に少し悲しさを感じる反面、こんなに大きな変化の中でも環境の変化に慣れ、生きていく人間は強い生き物だ。そんなことをふと思った年初め。

 これからの時代に生きる私たち人間が、自己の免疫力や生命力を高めるためにはどうするべきか? 2021年初めてのコラムは、私が大切だと信じている発酵食品との付き合い方をほんの一部ですがお話ししようと思います。

私たちの生活に溶け込んでいる発酵食品

 発酵食品は、自然界での食品と菌の産物を人間が偶然発見したことから始まります。みそ、酢、しょうゆなどの調味料をはじめ、日本酒、ビール、ワインのお酒類や、納豆、ぬか漬け、ヨーグルトやチーズ、パンやサラミなどのさまざまな食品が世界各地で生まれ、歴史とともに現代に伝わり、人々の食卓で親しまれてきました。

 冷蔵庫など保存の技術が乏しかった時代、また現代のように食品の流通が便利ではなかった頃の人々の工夫。それがありがたくも今を生きる私たちに健康と活力、食べる喜びや、さまざまな恩恵を与えています。

 食品の腐敗を防ぐため発酵を行う菌を多く取り込み、保存のために利用(保存食品)する人もいるでしょう。また、食材を菌の“醸し”によって、さらに栄養価を高め食事に取り入れる人も。こうして発酵食品は、私たちの生活に溶け込んでいます。

 さらには、地球の環境問題改善のため、水や土を浄化するためにさまざまな場面で菌が活躍しています。そして最近の研究によって、発酵食品を生活に取り入れるメリットが少しずつ証明されてきました(すべての人に当てはまるというわけではありません)。