インタビュー

先天性欠損症の子と歩む美馬アンナさんと先輩ママ 「普通って何?」を考える

著者:Hint-Pot編集部・佐藤 直子

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オンラインで対談した浅原ゆきさん(左)と美馬アンナさん【画像:Hint-Pot編集部】
オンラインで対談した浅原ゆきさん(左)と美馬アンナさん【画像:Hint-Pot編集部】

美馬アンナさん対談中編 お相手はNPO法人「Hand&Foot」代表理事

 女優やタレントとして活動し、プロ野球の千葉ロッテマリーンズで活躍する美馬学(みま・まなぶ)投手の妻でもある美馬アンナさん。先天性欠損症により右手首から先がない1歳の男の子「ミニっち」の母になったことで、障害は個性にすぎないと気付きました。そこで、身近な野球やスポーツを通じて障害者と健常者をつなぐ活動や、障害を持つ子どもの家族が意見交換や情報共有できる場所作りを「使命」と感じ、行動に移し始めています。

 この対談シリーズでは、さまざまなジャンルの方との会話を通じ、使命を実現するためのヒントを探っていきます。第2回のゲストは、NPO法人「Hand&Foot」で代表理事を務める浅原ゆきさん。次女「りっちゃん」が右手の指が3本で生まれてきた浅原さんは、障害を持つ子どもやご家族のために情報発信を続け、アンナさんも前向きになるきっかけをもらったといいます。

 障害を持つ子どもを授かった母親同士として、大いに共感し合ったオンライン対談を、全3回でお届けします。今回の中編は、「普通って何だろう」という大きなテーマから、現在は1000家族以上が参加する「Hand&Foot」の誕生秘話、NPO法人化するきっかけとなった絵本出版プロジェクトの今などについて語り合いました。

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「普通」って何だろう? 浅原さんの意識を変えた出来事とは…

司会:浅原さんは「Hand&Foot」のウェブサイトで「いつか出会うかもしれない、彼ら・彼女らと普通に出会ってほしい」とおっしゃっていますが、「普通」って一体何だと思いますか。

浅原ゆきさん(以下浅原):「普通」って何だろう、とは、娘が生まれてから8年間ずっとずっと考えてきたことです。その過程で1つ、すごく考え方が変わった出来事がありました。生まれつき指が2本の女性とお会いした時、その方に「私の手って、浅原さんから見て5分の2に見えますよね?」って言われたんです。私が「5分の2に見えます。娘の手も5分の3だと思っています」と答えたら、「違うんです」って言うんですよ。その方にとっては「5分の2」ではなくて「2分の2」であって、指がないという意識がないんですって。

美馬アンナさん(以下アンナ):なるほど。

浅原:生まれてきたままの手や足の形が、その人にとっては普通なのだと、その時ストンと腑に落ちたというか、「あ、そうなんだ」って。そもそも「普通」というのが人によって違うんですね。何となく人って、みんなと同じ平均的なことを「普通」ということが多くて、私もずっとそう思っていました。例えば子育てをしていても「おむつがまだ外れない。普通はこのくらいに外れるって書いてあるのに」とか、「まだ歩かない。普通は1歳くらいで歩くんじゃないの?」とか、誰でも普通にこだわっちゃうことってあると思うんです。でも、「普通って人によって違うんだ」って気付いたことで、何かすごく楽になったんですよね。

「Hand&Foot」で副理事を務めている大塚(悠)は指が4本で生まれてきたんですけど、彼女との出会いもすごく大きくて。大塚は「人と同じなのが普通じゃなくて、人と違うのが普通なんだ」と言っていて、「違うからこそ出会えて楽しい」と教えてくれたんですね。

 ウェブサイトにも「彼ら・彼女らと普通に出会ってほしい」とありますが、この「普通に出会う」とは「指や手がないことを気にしないでください」ではなく、「出会った時にこの子たちの普通を理解してほしい」という意味で使用しています。出会った時に、お互いそれぞれ持っている普通を知ろうとしたり、理解し合ったりすることで、大塚が言う「違うから出会うのが楽しいよね」ということにつながるんじゃないかな、と。この8年間で、みんなそれぞれ違う「普通」があるということに落ち着きました。